信州南端・天龍村のていざなす・・・美味しいなすとの出会い紀行
『幻の巨大なす』といわれる長野県「信州の伝統野菜」認定・ていざなすは、普通サイズで450~500グラム、長さ20~25㎝、大きいものは重さ1キロ、長さ30㎝にもなる、大きななすです。
築地の八百屋さん塩田勝良さんの主催されるツアーにお誘いをいただき、その産地、長野県の南端にある下伊那郡天龍村へ行ってきました。
天龍村は、95%が山林で、急峻な斜面がほとんど。ですが、冬期のもっとも寒い時期でもマイナス5~10℃、雪が積もっても5㎝程度と、信州というイメージよりも温暖で、太平洋側の気候に近いそうです。山村の例にもれず、65歳以上が55%近くを占める、どちらかと言えば過疎の村です。
平岡駅で降りたら、早速、ていざなすの畑へ。
天龍農林公社の男澤秀行氏に案内していただき、
伺った畑は、標高約400m、寒暖の差が大きい地です。
ていざなすは米なす系で、明治20年頃に、この村に住んでいた田井澤久吉さんが、東京の種苗店から種子を取り寄せて栽培を始めたもの。彼に因んで「たいざわなす」と名づけられ、地元では親しみを込めて「ていざなす」と呼んでいるそう。
果皮は赤紫色で、がくは緑色、果肉はやわらかく、甘みが強く、種が少ないのも特徴です。
現在、ていざなすを作っている農家は、21軒。花が咲いてから収穫までは1カ月ほどで、収穫期は7月から10月までと長く、1本の木から15本収穫するのが目標とか。
畑に1本、皮が金色になった『黄金のなす』が…。これは、完全に成熟させたもので、種を取るためだそう。
焼きなすがもっとも親しまれている食べ方ですが、アクが少ないので、皮をむいて薄切りにし、生食にも、天ぷらや、煮もの、味噌汁の具などにしてもおいしいそうですが、やわらかいので漬けものには不向きとか。
次に、山の宿『加満屋』さんへ、地元の食材たっぷりの献立の昼食をいただきに。ていざなすは、焼きなす(丸ごと焼いて、削り節と万能ねぎをのせて)、なす田楽(味噌をのせて焼く)で。どちらも、果肉がやわらかく、とろりとして、甘みがありました。
その後、『あけびの里』であけび狩り体験。
あけびの皮の天ぷらを試食しましたが、やはり苦みは強く、珍味、酒の肴といった感じですね。
温泉でさっぱりした後、県下でも一番の清流・和知野川キャンプ場で「伝統野菜と日本ワインを楽しむ会」。携帯電話もほとんど繋がらないところで、降るような星空の下、ターフを張りランタンの灯りでディナーをいただきました
このディナーの席でも、もちろん、ていざなすを。蒸し焼きにしたていざなすの生ハム巻き、焼きなすのアンチョビソース、などを、長野産・山梨産の国産ワインとともにいただきました。
三連休というのに人が少ない大自然を満喫した、のんびりした、いい旅でした。