賀茂なす
賀茂なすも、水なすに負けず劣らず由緒正しい。
17世紀、浅野家に仕えた儒医で歴史家の黒川道祐という人が書いた『雍州府志 -近世京都案内-』という本には、こうあります。
「茄子処々これを植う。紫茄、黄茄、白茄の異あり。然れども紫なるものを佳となす。その形状におけるや、あるいは細長きものあり。民間長茄と称す。然れども風味円大なるものに及ばず。洛東河原の産殊絶となす」。
なすにもいろいろあるけれど、色は紫色のものがよく、カタチはまるくて大きなものがよい。なかでも洛東河原でできるものが最高である。なるほど。
『京の野菜記』(林義雄著・ナカニシヤ刊)によると、「洛東河原というのは今の出町の大田川から三条までの鴨川原で、吉田、田中あたり」で、「どうもこのなすが賀茂なすらしい」。上賀茂に移り、賀茂なすと呼ばれるようになったのは「明治になってから」とのこと。
賀茂なすは、千両なすに比べて収量が少なく、それなのに肥料と水は倍以上必要とするのだそうです。だから、しっかりとした歯ごたえのある緻密な肉質になる。姿も色も美しいですし。うやうやしく扱われてトーゼン、というべきでしょう。
一つはゴマだれ、もう一つは肉みそでいただきました。
ゴマだれは、だし汁を片栗粉でとろみをつけ、練りごまをたっぷり混ぜ合わせたもの。
肉みそは、しょうがとにんにくのみじん切りを炒め、豚ひき肉を投入し、日本酒、八丁味噌、みりん、砂糖で味をつけたもの。
肉みそのほうが上手にできました。
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