長岡野菜
わたくしは、いま「野菜のおいしさってなんだろう」と考えるプロジェクトに参加しています。
そのなかで、「日本人の味覚の幼児性」が話題になることがあります。味覚の幼児性というのは、すごく単純にいうと甘さの追求。
何でもかんでも甘いことがもてはやされる。けれど、かすかな苦み、渋み、えぐみなども含めて、それぞれの野菜のアイデンティティがあるんじゃないだろうか。それは、甘さを求めるなかで、失われていくのではないか。最近テレビのレポーターが使う言葉で、なんだか気になる「食べやすい」、「食べにくい」という表現とも関係しているような気がする。
甘い野菜のほうが食べやすい、よく売れる、高く売れる。で、野菜や果物は糖度の高さを競う。甘いことは、野菜や果物の勲章のよう。野菜のネーミングに糖度の単位であるブリックスを使い、「ブリックス○○○」というものもあるくらいです。
でも、それでいいんだろうか。たとえばトマトのおいしさって、甘さだけなんだろうか。酸味などほかの味とのバランスではないのか。甘いだけのトマトって、毎日は食べられないんじゃないの。フルーツトマトを毎日食べるには、お財布上の問題もありますが、それだけじゃなくて、飽きてしまうのではないかしら。
で、「おいしいことはあきないこと」という長岡野菜のポスター。甘さを追求する風潮のなかで、ちょっと大げさかもしれませんが、願いというか祈りにも似たスローガンのようで、印象的でした。
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コメント
はじめまして。いつも楽しみに拝見させていただいております。
「甘いもの万歳」には常に考えさせられることばかりですので(当地愛媛は柑橘産地ですので特に・・)、朝から胸が明るくなりました。
これからも野菜果物のトビラがパタパタ開く、楽しいお話を心待ちにしております。
投稿: スエヒロガリ | 2006年9月 9日 (土) 06時37分
■スエヒロガリさん
はじめまして。
ご覧くださってありがとうございます。
そして、おほめのコメントをいただき恐縮しております。
野菜や果物のおいしさってむずかしいですね。
個人差と言ってしまえばそれまでですし…。
でも、甘さだけを追求することに
?マークをつけている方もおられることがわかって、
心強いです。
投稿: クサマヒサコ | 2006年9月 9日 (土) 18時08分