八百屋塾(2) だいこん
今月のテーマ野菜の一つ、だいこんは、最近のブランドから伝統的な品種まで11種類、それにカブが1種類登場しました。肥料や育て方が独特のもの、売り出し方に力を入れているもの、消費者を意識したミニサイズ、伝統的な地場のものなど、それぞれつくる人たちのさまざまな思いがこもっているだいこんたちです。試食は、煮たものと生で。
■カルラディ 神奈川県 JA三浦市産↓
品種:夏つかさほか
「カルシウム・ラディッシュの意味。大自然をフルにいかした露地栽培。カルシウムが豊富」と資料にありました。
ネットで見てたら、NHKの番組“食の新世紀”に出たらしい。残念ながら、私は見逃してしまったけれど…。
ここ↓に、NHKの番組が紹介されています。
http://www.nhk.or.jp/t-shinseiki/back/syoku135.html
■里むすめ 徳島県 JA里浦産↓
品種:里娘A(エース)
資料には「海の砂から得た、天然ミネラルで色つやがいい、非常にやわらかで煮すぎないように注意が必要」。
ちょっと考えてしまったのは、「里むすめ」というブランドのこと。これはJA里浦のだいこんだけでなく、さつまいもにもついているブランドだそう。
里浦の産物だから「里むすめ」なんでしょうね。エルメスにはスカーフもバッグもあるけれど、エルメスやシャネルとはちょっと違うのではないかとおもうけれど…。これは、消費者向けというよりは関係者向けのブランドなのかしらね。
■ミニ大根 茨城県 健農うまか産↓
品種:味っ子
「武蔵野種苗(韓国系品種)。ややかためな肉質。」と資料。
これ、昨年も食べくらべしました。今回も生で試食。クセがなく甘みがあり、水分がたっぷりでした。
■根太チャン 千葉県 JA佐原市フレッシュリーフ↓
品種:味いちばん
「シンジェンタシード。太く短い大根。肉質緻密。おでんや煮もの、サラダにも向く。」これも生で試食。香りがあって、甘く水分も多い。
■源助 石川県 末広青果産↓
品種:源助
「加賀野菜。煮くずれしにくく、それでいてやわらかい。ぶり大根やふろふき大根にすると極上の風味を楽しめる」(資料)
加賀野菜のサイトには、次のような解説がありました。
源助だいこんは、金沢市打木町の篤農家・故松本佐一郎氏によって育成されたものである。
松本氏は、昭和7年に愛知県の井上源助氏が宮重系統の中から早生種で生育の旺盛な切太系の固定したものを導入し、在来の練馬系打木ダイコンとの自然交雑によってできたものを毎年選抜し、昭和17年に今日の源助だいこんに育て上げたものである。
http://www.kanazawa-kagayasai.com/15hin/daikon.html
■大蔵 千葉県 小野沢克之↓
品種:在来種
「世田谷区の地場野菜。純白で水分少なく、煮くずれしない。おでんにすると味がよくしみる。」(資料)
「かたいので煮ものにいい」と私のメモがありますが、今回いただいたものは、聖護院に比べるときめがちょっと荒いかもしれない。
以下は『江戸・東京ゆかりの野菜と花』(JA東京中央会刊)から引用したものです。
- 秋つまり大根
根の形が円筒形で、尻(先端)が丸くつまっていることから、この名前がつけられた。……江戸時代に西山(武蔵野台地)で生まれた。伝承には源内つまりという大根を「豊多摩郡の百姓源内がつくり出した」とあることから、西山一帯の地大根と他の地方の大根の交配によるものだろう---
上から下まで、ほぼ同じ太さ。これは
---同じ形に揃えて輪切りにできるのでムダもなく、料理のできあがりの見栄えがよい
なるほど。甘みがあり、「煮ものには最高」とありました。これが世田谷区の大蔵原に伝わって、大蔵大根になったのだそうです。
■亀戸 千葉県 JA千葉小金産↓
品種:在来種
「小ぶりで葉もやわらかい江戸前野菜。透き通るような色白大根で、あさり鍋や漬けもの(麹漬け、三五七漬け)に最適」と資料。見ると目が離れない、美しいだいこんです。
これも江戸の伝統野菜。そこで『江戸・東京ゆかりの野菜と花』(JA東京中央会刊)をみてみると
江戸時代にこの大根ができ、当初は“おかめ大根”とか、“お多福大根”とか呼ばれたこともあった。……むかしはおかめ顔とは美人のことであって、上品で小ぶりで味のよい亀戸大根にはふさわしい呼び名
私が見とれてしまうのも不思議じゃない。
■聖護院 京都府 JA全農京都産 品種:在来種
「京都の冬には欠かせない、ほんのり甘く、とろけるような肉質の京野菜。おあげと炊くと美味」だそうです。お揚げがなくても、きめ細かさ、なめらかさはすばらしい。同じ調理時間なのに、いちばん味がしみていました。
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