やっちゃ場伝
たとえばこんな話。
---西瓜を井戸水で冷やした「江戸下町風景」は大ウソでした。………江戸市中の庶民生活図のなかに、下町の長屋風景で、女房連が井戸端会議を開いている“図”は、地下水路の通水時間に制限があり、各町ごとに時間差通水で、その割り当てのときに地下水路を利用しなければ翌日まで水がなくなるので、女房連が汲み水・洗濯水に集まった。とてもとても西瓜、野菜類を“井戸水”に冷やすことはできなかった---
それから、こんな話。
---文政6(1823)年オランダ商館が長崎・出島に開かれ、シーボルトが野菜、果実の新種をオランダより持ち来たり、従来の在来種野菜に代わり、天保の頃より神田市場にも、やたら上にオランダをつけた野菜が入荷している。………オランダトマト、オランダセルリ、オランダパセリ、オランダエンダイブ、オランダニンジン、オランダレタス、オランダサヤ豆、オランダカリフラワ。いずれも国内初お目見えだった---
ふーん、へーっと思う。
江戸や大坂のせりの符丁も紹介されていたりして、すごーく物知りになったような気がする本でした。
著者は神田川菜翁という。ピッタリすぎるお名前だなぁと思ったら、ペンネームでした。伊勢屋長兵衛という由緒正しい青物問屋の末裔に連なり、伊勢長15代目と呼ばれることもある方だそうです。
■神田川菜翁著『やっちゃ場伝』サンガ刊
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コメント
実は、小生もこの本を買いました。
しかし、読みにくく まだ途中までしか読んでいません。
ただ、昔のほうがなんとなく 仕事といえ 楽しそうです。
ちなみに 符丁はいまだに生きているものもあります。
投稿: 藤岡 輝好 | 2007年3月10日 (土) 13時50分
■藤岡さん、こんにちは
コメントありがとうございます。
講談口調って、なんだか脈絡をたどるのが疲れました。
昔の市場関係者の名前がいっぱい出てくるしね。
話の続きに出てきそうだから、憶えてなくちゃイケナイのかしらと思うけど、
人の名前がたくさん出てくると、上の空というか
頭に入ってこなくて、何度も同じところを読んでしまいました。
でも、この本、私はけっこう役に立ちそうな気がします。
投稿: クサマヒサコ | 2007年3月10日 (土) 17時31分