果物教室 6月② メロン
■アールス↓
アールスは、いまのようにハウス栽培が一般化していなかった時代に、暖房設備のあるガラス温室で作られ、「温室メロン」と呼ばれていたのだそうです。そもそも温室メロンの栽培は宮内庁の技師によって始められた、というのですから庶民のものではありません。
美しいネットが市場価値に直結するってことは、食べるものというよりは見るものなのでしょうか。ギフトとして使われることが多いので、外観や日持ちを重視した育種が行なわれ、香りは原種より少なくなっているそうです。
試食したアールスの糖度は16~15.2。繊維が口に残るような気がしました。
■夕張キング
いただいた資料によると、北海道の「夕張メロン」は、アールスとキャンタロープという品種の一代雑種。昭和14年(1939年)に、北海道農業試験場で育成された品種を、夕張農協が戦後になって栽培を復活させました。「夕張メロン」というのは品種ではなくブランド名。北海道独特の気候風土ではじめておいしい夕張メロンが生産できるのだそうです。
試食した夕張キングの糖度は15.8~14.5。なめらかな食感が印象的。
■アムス、タカミ、ユウカ
メロンのお話をしてくださったのは(財)日本園芸生産研究所の平林哲夫先生。この研究所では昭和40年(1965年)から「日常的に食べることのできるおいしい大衆メロン(ホームメロン)」の育成を目標にしてきた。その成果が、アムス、タカミ、ユウカなのです。
・アムス↓
1974年発表。外観がいままでのメロンのイメージと異なるため、普及に時間がかかったといいます。でも、おいしく、生産が安定しているので、いまは全国的に栽培されている品種。
試食したアムスの糖度は16.3~15。甘みととともに何か違う味がしたような…。
・タカミ↓
1990年命名発表。「より栽培適応性が広く、糖度、肉質の安定した耐病性ネットメロン」を目標にして育成された品種。アールスからはじまり、さまざまな品種のよいところをとって作られたもので、「タカミ」は「貴味」とか。
試食したタカミの糖度は14.6~14.5。けっこう強い甘さがあとに残りました。
・ユウカ↓
1990年命名発表。ユウカは、熟すると果皮が緑色から黄色に変わる!「ほかのメロンが熟しているかどうかは僕でもよくわからない」と平林先生。果皮の色が変わればだれにもわかります。香りが優れているので、「優香」からユウカ。
試食したユウカの糖度は16.3~15.4。ジューシーでクリーミィな肉質です。※ユウカは、お皿にのっているメロンの後ろのほう、前はアムス。
私はいちばん印象に残ったのがユウカですが、「この色と姿が市場では受け容れられなかった」と先生は残念がっておられました。これ、ホントに売れないのかな。
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