〔野菜の学校 2007〕1月-2 大根(続)
[野菜の学校2007]、年が明けて1月のテーマは大根。試料をお願いしている東京青果の澤田さんが、参考展示として運んでくださったのは14種類もの大根!「サカタのタネ」の君津圃場から提供されたものです。サカタの君津圃場は、「よこはま青果塾」の研修旅行で連れて行ってもらったことがあります。
長年野菜の食べくらべをなさっている荒井慶子先生も「これだけのものが揃うのはわたくしも初めて」とおっしゃっていました。
以下は、「サカタのタネ」の資料から引用しました。
■桜島大根(鹿児島産)
~ギネスブックに認定された巨大大根~
「早生」と「晩生」では、その品質も若干異なっています。
現在の主流といわれる「晩生桜島」は煮食に適し、また特産の薩摩漬け(粕漬け)に広く利用されています。
■聖護院大根
~仏料理にも使われる煮くずれしにくい大根~
肉質が緻密で、煮くずれしにくく、かつ味がしみこみやすい特性をもっており、煮食用としては最高の品質を備えています。
北野天満宮の近くにある千本釈迦堂では、無病息災を願う風習として「大根だき」が毎年12月に行われ、聖護院大根が供えられています。
■練馬大根
~関東のたくあん代表品種~
関東で発達したわが国最大の品種群「練馬群」の代表品種。
肉質か緻密で、乾燥しやすいなどの性質を利用して、たくあん用に最も利用されていました。
■(早生)大蔵大根
~晩秋の「おでん」「煮もの」の代表品種~
緻密な肉質で味がよいために、おでんや煮もの、また漬けものなどに広く使われていました。また、色が純白で、先まで円筒形なので、桂むきや刺身のツマにも重宝されていました。さらには、葉もクセがなくやわらかいので、炒め物やおひたしにして、好んで食べられていました。
■阿波(新)晩生大根
~かつて全国一のたくあん産地を支えた大根~
徳島県吉野川流域で栽培され、たくあん専用として一時期の日本の食生活を支えました。「阿波たくあん」は、最盛期の昭和19年には2万3千トン、3500haもの栽培が行われ、阪神市場を中心に日本全国に拡がりました。
■青首宮重総太大根
~現在の青首大根の元祖的存在~
現在、青首大根は幅広く利用されていますが、本来総太系は切り干し用に盛んに利用されていて、また生食用としても利用されていました。
■(耐病)みの早生大根
~関東で分化発展した耐暑・耐病性大根~
水分が多く、さわやかな辛味が特徴です。
漬けもの(浅漬け)などにも利用されていましたが、適度な辛味とその食感から、特に生食(大根おろし)に広く利用されていました。
■紀州大根
~大阪市場の65%を占めた短系白大根~
食味が非常によいため、生食、浅漬け、煮食用などに利用されていました。
また、特産のべったら漬け用としても広く利用されていました。
■三浦大根
~根強い人気の冬大根~
生食(大根おろし)、ふろふき大根、おでんなど、多方面に利用されていましたが、特にお正月のなます大根には最適といわれています。
■亀戸大根
~江戸っ子に大人気の浅漬け用小型大根~
端境期に出荷される大根であったため、春から初夏にかけての風物詩となって愛されていたようです。
葉も根部もやわらかかったため、まるごと浅漬けにして食することが最も多かったようです。 ■(花不知)時なし大根
~晩抽性大根の代表品種~
肉質がかたく、辛味が強いので、端境期用の生食(大根おろし)、早漬けなどに利用されていました。
※晩中性とは薹立ちが遅いこと。その性質を利用して品種開発によく利用されるのが時なし、と芦澤先生。
■西町理想大根
~浅漬けに最適の生食兼用秋大根~
漬けもの、煮ものの兼用種ではありますが、繊維が非常にかたくいわゆる「ざくざく感」が強いため、歯切れが求められる漬けもの(特に浅漬け)に広く利用されてきました。
しかし、漬けもの用だけできなく、加熱してもなかなかおいしい大根で、まさしく“理想”の大根といえるでしょう。
■打木源助大根
~金沢の伝統野菜~
浅漬け、おでんなどに利用されています。
また、金沢の冬の名物「大根ずし」には、本品種が使われています。
■方領大根
~多くの品種のルーツ的存在~
煮くずれしにくく、食味がよかったことから、煮食、粕漬けなどの漬けものに多く利用されてきました。
| 固定リンク
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- パプリカペースト「アイバル」(2020.08.05)
- ティラミスチョコレート(2020.07.21)
「食」カテゴリの記事
- はじめまして牧野野菜です。(2021.08.02)
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- パプリカペースト「アイバル」(2020.08.05)
「野菜の学校」カテゴリの記事
- 伊吹大根のぬか漬け(2020.06.25)
- 日本の野菜(2020.01.06)
- てるぬまかついち商店の干しいも(2019.06.13)
- 宴の野菜度 銀座「長崎しっぽく浜勝」(2019.02.20)
- 「牧野野菜」の試食(2018.04.15)
「伝統野菜・地方野菜」カテゴリの記事
- はじめまして牧野野菜です。(2021.08.02)
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- 伊吹大根の「ぜいたく煮」(2020.06.30)
「野菜(根菜類)」カテゴリの記事
- 伊吹大根のぬか漬け(2020.06.25)
- 大江戸味ごよみ 10月19日(土)べったら市(2019.10.19)
- ~日本食文化のルーツをさぐる~ 在来ごぼうフェスタ(2019.10.07)
- 大江戸味ごよみ 10月1日(火)練馬大根と綱吉と脚気(2019.10.01)
- 福島秀史さんの畑 滝野川ごぼうのタネ採り(2019.08.20)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント