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2008年4月17日 (木)

春キャベツ

Cabbage02 キャベツは一年中出回っている野菜です。大田市場の取扱量(2007年2月~2008年3月)は、平均すると月に約6,300トン。それぞれの月をみてみると、多い月で7,000トンを超え、少ない月で5,000トン台ですが、ほぼ平均値に近いところで推移しています。
ただ、その中身が違う。今ごろから出てくるのは、「春玉」とか「春系」といわれる春キャベツ。夏になると、春から初夏にかけてタネをまく高原キャベツ。冬には、秋から初夏にタネをまいて冬に収穫される「冬玉」、「冬系」です。今出回っている春キャベツは、水分を多く含み、巻きがやわらかくて、2つに切ると内側のほうまで色がついています。これは生で食べることを前提に開発されたキャベツだそうです。

Cabbage_cut2 生で食べるキャベツというと、トンカツのそばには必ずついているせん切り。これは明治の中頃に銀座の洋食屋さんが、カツレツにキャベツのせん切りを添えて出したのが始まりとか。やがて、トンカツの普及とともに、生のせん切りキャベツはすっかり定着したわけです。
大久保増太郎著『日本の野菜』(中公新書)によると、かつての日本人は、野菜を生で食べることはなかったといいます。
以下はちょっと長いけれど、その部分の引用。「わが国には、おろしダイコン、薬味ネギなどごく一部のものを除いて野菜を生で食べる習慣はなかった。肉料理がかなり伸びても、生野菜のサラダはあまり普及しなかった。サラダといえば、ゆでたじゃがいもに、タマネギ、キュウリ、ニンジンなどを混ぜてドレッシングで味付けした、あのポテトサラダのことを指していた。生野菜サラダが今日のように日常的に食べられるようになったのは戦後、それも昭和30年代後半(※ということは1960年代ですネ)以降のことである。その60年以上も前からキャベツだけは生で食べられていた。キャベツとトンカツの出会いがわが国における野菜の生食の先駆的役割を果たしたといえよう」

なるほど。
キャベツとトンカツの出会いは「生食の先駆的役割を果たした」だけではありません。日本では、キャベツの食べ方で圧倒的に多いのが、生のせん切り。キャベツは世界各地で作られていますが、これほど生が好きな国はない、と聞きました。なにしろ、生で食べるためのキャベツ、春玉を作ってしまうほど。
よその国の料理で、生キャベツが印象的なのは、タイのソムタム(青パパイヤのサラダ)です。日本にあるタイレストランだけかと思ったら、バンコクで食べたソムタムにも春玉に似たキャベツがついてきました。タイ事情に詳しい人の話によると、高原地方で作っているとか。でも、キャベツはもともと寒い国の野菜でしょう? いつごろから生のキャベツを食べるようになったんだろう。タイのキャベツが春玉みたいなのは、どうしてなのかしらね。

Cabbagegrapefruits01 さて、お料理しましょう。私がキャベツを料理するときは、あまり生ではいただかない。でも春キャベツだからなぁ、生に近い料理がいいなぁと考えていたら、ヘアサロンで見た女性誌にあったのがこれ。
材料は新たまねぎ、春キャベツ、グレープフルーツです。春キャベツは細切り。塩をしてしばらくおいて絞り、スライスした新たまねぎとグレープフルーツを加えて、ドレッシングであわせればできあがり。淡い色がきれいな、さわやかなサラダです。

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