ビエトラ(ふだん草)
最初に栽培が始まったのは小アジアや中近東地域で、紀元前1000年にはシチリア島でも栽培されていたらしい、という、アカザ科の古い野菜です。イタリアで「ビエトラ」、イギリスで「チャード」、沖縄で「ンスナバー」…と土地固有の名前があります。ということは、それだけそこに根づいているということでしょう。
日本には17世紀かそれ以前にやってきたようですが、その後、明治になって西洋種が入りました。地方名が多く、たとえば「不断菜」「いつもぢしゃ」「常菜(とこな、つねな)」「年中菜」「唐萵苣(とうぢしゃ)」「かき菜」「夏菜」「うまい菜」「あま菜」「ごまいらず」「かつぶし菜」などなど、各地で作られていたことがわかります。
写真のビエトラは、とても大型です。長さを測ったら55㎝もありました。作っているのは、「ファットリア葦毛(いもう)の里」という、障害をもった子どもたちの職業リハビリ実習農園。「ファットリア」はイタリア語で「農園」、「葦毛(いもう)の里」とは、農園の運営母体=社会福祉法人岩崎学園の愛称だそうです。この農園で作っているのは、高級レストランで使う質の高いイタリア野菜ばかり。
「ビエトラ」というとイタリアンを作らなくちゃ、ですね。たとえば、パスタに入れたり、ベーコンと炒めたり、スープに入れたり、キッシュに入れたり、ケーキみたいに焼いたり…。いろんなレシピがありますが、どの料理も、「まずゆでてから」が必須のようです。
「ふだん草」なら、なんだか親しみやすい。作ったのは沖縄のレシピ、ンスナバーととツナ缶の炒めものです。↑
茎の部分は2センチ幅くらいのななめ切り、葉っぱは1センチ幅に切って、塩を入れたお湯でサッとゆでます。水にさらしてからギュッと絞ってつまんでみたら、ちょっと土臭いんですね。ほうれん草の根っこのような匂いがします。フーンと思いつつ、フライパンにサラダ油を熱して、ゆでたビエトラを炒め、缶詰のツナを油ごと投入。塩で味をととのえればできあがり。
味見をしたら、今度は土の匂いを感じません。ツナ缶の匂いに消されてしまったのかもしれない。こんなに簡単なのに案外いけます。
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