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2008年8月 7日 (木)

巾着なす

Rs_080807kinchaku「巾着(きんちゃく)なす」は、新潟県長岡市周辺で作られている地方品種。長岡の伝統野菜として、都内でも見かけます。

Kinchaku_cut02 Kinchaku_cut03 新潟県の人のなす好きは日本一とか。なすの栽培面積は773haで全国一ですし、地方品種の数も群を抜いて多く、さまざまな種類があります。大きいなすや丸いなす、肉質のやわらかいのやしっかりしたの。一つ一つ特徴があって、たとえば焼きなす用、漬物用…というように、その性質をいかした方法で調理されます。「巾着なす」の場合は「ふかしなす」、つまり「蒸しなす」がいちばん、だそうです。
私も長岡で取材したときに、蒸して冷やした巾着なすをごちそうになり、なるほどトロリとして、甘く美味なのに感激しました。東京で食べると、なぜかいつもちょっと違っちゃうのですが、野菜の神さまといわれた江澤正平先生は産地の食べ方をだいじになさっていました。

Kinchaku_musi02で、巾着なすなら、まずはふかして。

  1. 2つにカットして、半分は皮をむきました。
  2. 水にさらして10分。湯気が上がっている蒸し器に入れて10分くらい。スッと竹串が通ればできあがり。
  3. あら熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、盛りつける前に1センチくらいの幅にカット。辛子じょうゆ、しょうがじょうゆなどでいただきます。

ふかしなすという食べ方は相当渋い。で、フツーの料理を作ってみました。

Kinchaku_ni03フツーのなすでよく作る「いなか煮」にじゃこを入れたバリエーション。 温かくても冷たくなってもおいしい、夏の定番おそうざいです。

  • 巾着なす2個 ※ということはフツーのなすだと4個くらい
  • ちりめんじゃこ大さじ3~4
  • 青じそ4枚
  • 赤とうがらし1本
  • ごま油2
  • しょうゆ、みりん、酒 各大さじ1 ※じゃこの塩分によって調節
  1. なすは2つ割りにして5ミリくらいの斜め薄切り
  2. ごま油を熱して色づく程度に炒め、ちりめんじゃこ、輪切りにした赤とうがらしを投入。さらに、しょうゆ、みりん、酒を加えて、汁けがなくなるまで煮る
  3. 器に盛りつけたら、粗みじんにカットした青じそを散らしてできあがり

なすはインド東部が原産地です。日本に入ってきたのがいつかはハッキリしませんが、奈良時代の書物に登場しますから、もうこの頃には栽培され、重要な野菜だったことがわかります。
入ってきたルートは3つ考えられます。

  • インド⇒中国⇒日本
  • インド⇒中国⇒朝鮮半島⇒日本
  • インド⇒東南アジア⇒日本

ルートによってやってきた品種も違うでしょう。また、全国各地に根づき、その地方の好みや土壌、気候にあうように変わっていった結果、独特の地方品種をたくさん生み出しました。巾着なすもその一つ、というわけです。

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