もやしのナムル2種
ジョン・キョンファさんの本をみていたら、2つのタイプのナムルが出ていました。
- ゆでるナムル(↑写真上)
もやしを洗い、ひとつまみの塩を入れたひたひたの水でゆでて、熱いうちに、塩、すりごま、おろしにんにく、ごま油であえる。これは大豆もやしを使いました。 - フライパンで炒めるナムル(↑写真下)
ごま油を熱してにんにくの粗みじん切りを入れ、香りが出てきたら、洗ったもやしを一気に投入。塩、こしょう、おろしにんにくを加えて強火で炒める。最後に鍋肌からしょうゆをまわし入れ、火が通ったかな、というところでとうがらしと白ごまをふる。こちらに使ったのは緑豆もやし。
「もやし」という名の植物があるわけではなく、豆類、穀類を発芽させて育てたものを「もやし」というのはご存じの通り。もやしのもとは、豆類では緑豆やブラックマッペ(けつるあずき)、大豆、穀類ではそばなどで、いまいちばん多く出回っているのは、緑豆とブラックマッペ。大豆のもやしは、韓国料理によく使われます。
もやしは思いがけず古い野菜です。中国やインドネシア、ミャンマーなどでは古代から食べていたといいますし、日本でも平安時代には薬だったのだそうです。都市部の食卓にのるようになったのは明治時代末期から大正時代にかけてですが、農村ではそうとう古くから食べられていたといいます。
■大豆もやし↓
■緑豆もやし↓
いまのもやしは昔とはまったく違い、先端技術を用いたクリーンな製造工場で、環境をコントロールして作られています。そこで、クエスチョン。もやしは農産物、加工食品のどちらでしょう。工場で作られているから加工食品?それとも、生鮮野菜だから農産物?
答は、農産物です。あたりまえのようですが、実は、もやしが生鮮野菜になったのは2002年。それまでは加工食品でした。総務省が決める「日本標準産業分類」という分け方のなかで、もやし生産業は、「製造業」のなかの「食品製造業」だったのが、「農業」のなかの「野菜作農業」、そのなかの「もやし栽培農業」に変わったのです。
だからどうしたの?と思うかもしれませんが、私たちに関係のあるのは、食品表示。2002年までは加工食品でしたから、「名称」「原材料名」「内容量」「消費期限または賞味期限」「保存方法」「製造者等の名前」が必要でしたが、いま表示が義務づけられているのは「名称」と「原産地」のみ。「原産地」というのは、もやしを作っているところです。もやしのモトになる豆はほとんどが外国産ですが、育成生産しているのは国内。で、たとえば「北海道」とか「相馬」のように、都道府県名、市町村名、そのほか一般に知られている地名が表示されています。ただ、加工食品だった頃の慣習なのか、いまも他の項目が表示されているものも多いようです。
もやしは呼吸していますから、買ってきたらつまようじなどで袋に穴を開けてから冷蔵庫に入れた方が長持ちします。
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