ごぼうのスープ
ごぼうは中国からくすりとして渡ってきた野菜の一つ。当時の日本は食用になる野菜が少なかったのか、くすりから食べものへと守備範囲を広げました。私たちの祖先が、薬用であったごぼうを野菜として育てたわけです。で、ごぼうを食べるのは世界中で日本人だけ。と思っていましたが、中国でも、日本向けに野菜として作るようになってから、健康によい野菜として食べられるようになったとか。
確かに、2007年1年間の東京中央卸売市場の産地別取扱ランキングをみると、7位に中国が入っています。それだけ日本に出しているのですから、けっこう生産されているに違いありません。ちなみに、1位は青森、2位茨城、3位群馬、続いて埼玉、熊本、宮崎の順。写真のごぼうは宮崎県都城で有機栽培されたものです。
ごぼうは一年中出回りますが、月別ランキングでは12月がトップ、次が10月、3位が11月で、秋から冬にかけて多く流通し、特におせちには欠かせない野菜というわけです。
ごぼうは泥つきのほうが喜ばれ、見た目からも都会的とはいいにくい野菜です。昔から地方で食べられている料理の常連的存在。たとえば、東京の「柳川鍋」は、どじょうとごぼうの組み合わせが絶妙ですし、秋田の「きりたんぽ鍋」は、比内鶏の脂が浸みたきりたんぽに、ごぼうの香りがたまらない。このほか、岩手名物のそば料理「柳(やなぎ)ばっと」、鹿児島の「さつま汁」、福岡の「がめ煮」などなど、具だくさんの郷土料理にごぼうは欠かせません。
そんなごぼうのイメージが変わったのは、サラダに使われるようになってからでしょう。「ごぼうサラダ」の誕生はいつごろなのかはっきりしませんが、スーパーマーケットやデパ地下のお総菜売り場で見た記憶がありますから、1990年代の前半には広まっていたようです。ミツカンが2001年に首都圏の30~50代の主婦を対象に調査した<サラダ事情 今むかし>の中の、「家庭でよく食べるサラダ 現在と子ども時代の比較」をみると、ごぼうサラダを「子どものころよく食べた」と答えた人はわずか1.2%。「現在よく食べている」人は39.6%で、そのアップ率は33倍!海藻サラダの13倍、シーフードサラダの9倍を引き離してダントツトップ。今や、サラダ向けごぼうの栽培方法も研究されています。
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