一粒入魂 ~日本の農業をささえた種子屋~
↓は「一粒入魂」展示の主旨を説明したペーパーの抜粋。
江戸時代、巣鴨には中山道という街道が通っていました(今はとげぬき地蔵通りで有名です)。まわりには畑が広がり、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ナスなどを作る農家が多くいました。
農家の人たちは、中山道を通る旅人に野菜のタネも売っていました。そのタネからりっぱな野菜がたくさんとれるので、遠くからタネを買いに来る人がふえ、やがて種子屋(たねや)を専門に始めるようになりました。
明治時代になると、鉄道を使って全国にタネを大量に売るようになり、中山道には約20店の野菜の種子屋が集まって「種子屋通り(たねやどおり)」と呼ばれるようになりました。タネは、多摩や千葉県、埼玉県などの農家にお願いして作り、およそ100種類のタネをあつかっていました。
展示会では、巣鴨で150年続いている榎本留吉商店(いまは東京種苗株式会社)の資料(手紙やカタログなど)を中心に、北区・練馬区・板橋区などの種子屋さんが使っていた商売道具、タネを入れる絵袋、そして野菜のタネなどをたくさん紹介します。
知らないことばかり。ふーん…、へーぇ…と、会場をまわりました。でも、「東京ブランド」というコーナーでは知ってる名前が出てきた。
…大正5年(1916年)には滝野川の種子屋が中心となり、卸売業者45名による「東京種子同業組合」が設立された。その目的は、重要種子の価格協定と優良原種の生産・供給にあった。特産物として有名な練馬大根(長尻・長丸尻)、滝野川牛蒡、大長人参、夏大根の5品種は、組合試験場で栽培・選抜した優良な原種(親種)を“東京ブランド”として供給することで、全国的な知名度と信用を高めていった。
「練馬大根」「滝野川牛蒡」まで名前は知っている。「大長人参」は聞いたことがあるような…。ちょっと驚いたのは「夏大根」。当時からあったんですね。それも東京の特産物だった。消費地とその近郊の農業という構図から生まれたのかもしれないな。
↓こちらはパンフレットの裏表紙。タネって個性があってきれい。
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