糠塚きゅうり
糠塚きゅうりの来歴ははっきりしません。いくつかの記事にある話は、藩政時代に参勤交代の道中でタネを持ち帰りこの地区で栽培が始まった、という、シベリア系きゅうりです。青葉高先生は次のように書いています。
- シベリア系品種
わが国のキュウリは大部分東洋系品種であるが、東北日本にはシベリア系の品種が古くから栽培されている。…(略)…
この品種は果実が短い楕円形で先半分は白色に近く、疣は低く、褐色の棘は落ちやすい。収穫が遅れると果実は褐色になり、温室メロンに似た美しい縞模様が生じる。これらの特性からみて本種はアーリールシアン系と呼ばれるシベリア胡瓜で、ピックル漬けに適した品種である。…(略)…
青森県には広い範囲に多くのシベリア系在来品種が残っていて、地胡瓜あるいは糠塚胡瓜と呼んでいる。
(『日本の野菜』八坂書房)
東北のシベリア系きゅうりといえば、いつかいただいた山形県酒田市の「鵜渡河原きゅうり」も、東北に近い金沢の「加賀太きゅうり」もシベリア系です。
「加賀太きゅうり」はガブリとかぶりつくビールのコマーシャルで有名になりましたが、金沢の人によると「加賀太を生で食べるなんて!」と言います。ところが、同じシベリア系でも糠塚きゅうりは生。新聞記事で、金浜さんは「冷やしてからみそで食べるのが最高」と言っています。ネットで調べてみると、タネを取り除いたくぼみにみそをおいた写真がありました。
いただいた糠塚きゅうりは220g強。カットするとみずみずしい香りが立ちます。何もつけないでかじってみました。たっぷりの水分には甘さ、皮のほうに苦みがあって、暑い日にさわやか。みそでいただくと、汗ぐしょの、水分と塩分が欲しいからだを癒してくれるようです。
糠塚きゅうりは病気に弱い上に収量が少なく、手間がかかるので、栽培農家は激減しているといいます。そこで、品種改良の動きもある。ネットには、青森県農林総合研究センター畑作園芸試験場(六戸市)が別の品種と交配し開発している、という記事がありました。2004年の記事なので、今はそうとう進んでいるのではないでしょうか。どんなきゅうりなのか、会ってみたいです。
交配、品種改良といった動きをよそに、金浜さんは祖父の代から100年以上も自家採種しておられるとか。自家採種、露地栽培、独特の食べ方、これぞ正真正銘の伝統野菜です。
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