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2010年7月21日 (水)

[野菜の学校]⑥あしたば

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八丈島のあしたばはハンノキのもとで育てられています。あしたばとハンノキについて、ミュゼダクリというNPO法人が主催する勉強会“study & cafe”で、とても興味深い話をうかがいました。

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“study & cafe”でお話をしてくださったのは、江戸東京・伝統野菜研究会代表の大竹道茂先生です。
今から30年近く前のこと、某企業がハンノキのもとで育てるというあしたばの栽培方法を特許申請したのだそうです。もしこの申請が通ったら、それまで長いあいだ島のひとたちがフツーに栽培していたあしたばについて、特許料を支払わなくてはならないことになります。
そんなことが通るんだろうか。企業ってずいぶんなことを考える!
そのとき、大竹先生をはじめJAの方たちが奔走し、この栽培方法が古文書に記載されていることを明らかにして、特許申請は差し戻されたのだそうです。“study & cafe”でいただいた資料には次のようにあります。

特許申請によると、栽培法について、アシタバをハンノキの近くに播種することで、ビタミン豊富な高品質アシタバ栽培か可能になるというものでした。これに対し、八丈島農協と中央会で、徹底した古文書の調査を実施し、その結果、この栽培法は文政10年(1827年)にまとめられた書籍「八丈実記」に、すでにこの記述があるとの主張を行い、昭和60年(1985年)4月23日、この特許申請は特許庁により拒絶され、特許異義の申し立ての審議は行わない旨の決定がされました。

ああ、よかった。
このお話をさらに発展させてくださったのは、“study & cafe”にお見えになっていた、山形在来作物研究会会長の江頭宏昌先生です。江頭先生は焼き畑の研究をしておられるのですが、焼き畑は1年目にヒエ、アワ、ソバなど、2年目に大豆など、3年目に再びソバなどを栽培する。そして4年目にハンノキを植えるのだそうです。

「ハンノキは、根粒菌がチッソを固定化し、地力を回復させます。マメ科の植物と同じですね。焼畑は東南アジア一体で行われていました。ハンノキとあしたばの話をうかがうと、八丈島や三宅島でもかつては焼き畑が行われていたのではないか、そんな気がします」

と江頭先生。そんな古くからの島のひとたちの知恵は、まさしくその地域の知的財産です。それを私企業の所有物にしようとするなんて、恥ずかしいと思わないのか。まあ、それだけアシタバは健康食品として注目されており、商品価値があるということなのでしょうけれど。

■配付資料から

  • セリ科シシウド属
  • 「今日その葉を摘んでも明日には新しい葉が出てくる」という、強靭で発育が速いことから明日葉という名がついた。実際にはそれほどの成長力があるわけではない
  • 八丈島や大島などが主産地で、伊豆半島、房総半島などにも自生する
  • 水分88.6%、エネルギー33kcal/100g。カロテン5300μg食物繊維5.6g、ビタミンB、Cも豊富な緑黄色野菜
  • 便秘防止や利尿・強壮作用があるとされ、ミネラルやビタミンも豊富なため、健康食品として錠剤だけでなく、パンや麺などさまざまな食品に加工されている
  • 切り口からでる黄色い汁は、ポリフェノールの一種であり、抗菌、抗酸化作用のあるカルコン類。抗菌活性や血管拡張作用、抗潰瘍、胃酸分泌抑制、抗炎症、血液凝固に関連する効果があり、近年、腫瘍細胞の増殖を抑え、転移を抑制する効果があることが報告されている
  • 葉、茎を加熱して食べる
  • 独特の香り、くせがあり、繊維が固めなので、天ぷら、炒めものなどにすることが多い
  • 新鮮なものは軸も葉も柔らかい。繊維が強いため、日がたつと硬さが際立ちやすいので、柔らかめにゆでて水にさらし、胡麻和えなどにするとおいしく食べられる

■試食「あしたばのごま和え」
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  1. あしたばは洗って、葉と茎に分ける
  2. 鍋に湯を沸かし、茎を入れて1分、葉を加えて、さらに1~2分ゆで、水にさらす
  3. 2を食べやすい大きさに切る
  4. 味噌、酒、練りゴマを合わせて和えごろもを作り、食べるときに和える

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