日本全国なす自慢(1) 東北
当日は、会場使用が許される9時30分に集合。東京駅の通路から国際フォーラムの広場に出ると女子がたくさんいて、それはそれは賑やかです。夏休みだからかしらと思ったら、ホールで韓国のグループの公演があるとか。へーぇ、この界隈がこんな雰囲気になることもあるのね。
さて、私たちは「日本全国なす自慢!」。今回のイベントには40種類以上のなすが集まりました。でも、いったい日本には何種類くらいのなすが育っているんでしょう。
青葉高先生の『日本の野菜』(八坂書房)には、昭和51年(1976年)の野菜試験場の調査で全国に67の在来品種が残されていた、という記述があります。私の事務所にある何冊かの本に登場するなすを合わせてみると、100種類以上ありました。主として在来品種ですが、こちらは名前だけでカウントしていますから、品種が違うとは限りません。地域による呼称の違いも数に入っていると思います。
このほかに、国や県、タネ屋さんが育てたなすの数々があり、最近はイタリア原産のなすも見かけます。総数はちょっと想像がつかない。たいへんな数になることは間違いありません。
そのなかの40数種ですが、見たことがないなすもたくさんあって、私はとてもおもしろかった。登場したなすを地方別にまとめてみました。
なすがのっている紙皿は、すべて直径18㎝。なすの大きさが類推できます。
- 栽培地域・栽培者:山形県米沢市窪田地区。栽培者は1人。契約栽培なので、入手は困難
- 果皮や果肉の特徴:果実は小型の巾着型でへた部より縦に 果溝が浅く入り、花痕部が大きい。果皮はかため
- 調理法、食べ方等:主に漬けもの
- 栽培地域・栽培者:山形県鶴岡市下名川(旧朝日村
- 果皮や果肉の特徴:薄皮丸なすと同系統で、皮が薄く、果肉の締まりがよい。
- 調理法、食べ方等:主に漬けもの
- 栽培地域・栽培者:山形県鶴岡市を中心にした庄内地方。名称は、栽培地「東田川郡黄金村民田」の名に由来する。
- 果皮や果肉の特徴:丸形の小なすで、果肉は締まり、果皮は小なすの中ではやわらかいが、かたくなりやすい。
- 培では、高い早生性を有するのが特徴
- 調理法、食べ方等:主に漬けもの。地元では浅漬けが多く、業者はからし漬け、粕漬け、みそ漬けなどに加工
- 栽培地域・栽培者:山形県鶴岡市湯田川地区。小田萬吉さん宅で代々家宝のように種を守ってきた。
- 果皮や果肉の特徴:長さ13㎝、幅10㎝くらいになる丸なす。果皮は暑く、果肉はしっかりしていてジューシーさも。
- 調理法、食べ方等:山形の郷土料理「だし」に向く他、焼きもの、煮もの、漬けものなど用途は広い。
- 栽培地域・栽培者:山形県全域、特に置賜地方
- 果皮や果肉の特徴:濃い紫色で、皮が薄く、果肉のしまりがよい。漬けるとパリッと歯ざわりが良いのが特徴。食べやすい一口大の大きさで収穫される。窪田なすから選抜改良されたものと推測されている。
- 調理法、食べ方等:主に浅漬けなどの漬けもの
- 栽培地域・栽培者:山形県山形市
- 果皮や果肉の特徴:品種は真仙中長なすで、「蔵王サファイア」の名前で商標登録されている。果皮は光沢のある黒紫色が美しく、果肉はやわらかく、へたまで食べられる。
- 調理法、食べ方等:もっぱら漬けもの用に
- 栽培地域・栽培者:宮城県内(仙台市近郊、名取市)
- 果皮や果肉の特徴:果皮、果肉ともしっかりしていて、漬け物にするとやややわらかい食感になる。果実は黒紫色でごく細長、先がとがっており、6㎝くらいの小なすで収穫する。
- 調理法、食べ方等:浅漬けが一般的だが、煮もの、天ぷら、田楽など、いろいろな料理にも
- 栽培地域・栽培者:福島県会津地方
- 果皮や果肉の特徴:光沢のあるやや巾着型に近い丸なすで、果皮はややかため。
- 調理法、食べ方等:焼きもの、煮もの、いためもの
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コメント
お久しぶりです。
ちょっと出遅れましたが、庄内・鶴岡の民田茄子、これは最高。
特に、残暑が厳しいこれから、民田茄子の浅漬けを氷の上に乗せて冷やしながら、これを肴にビールを。
暑さが吹き飛びます!
また鶴岡へ行きたくなりました。
父方の祖父の出身地でもあります。
投稿: grahams | 2010年8月25日 (水) 11時02分
■grahamsさん
鶴岡って、おいしいものがたくさんある、いいところですね。
去年、今年と行って、すっかりファンになりました。
また、秋に行けるかなぁ。
投稿: クサマヒサコ | 2010年8月25日 (水) 12時58分