日本全国なす自慢(2) 中部
長岡中央青果の鈴木圭介会長、この方を抜きになすの話はできません。何しろ鈴木会長が紹介した長岡のなす文化に、野菜の神さま・故江澤正平先生も驚いたというエピソードの持ち主です。今回は、長岡のなすを各種調達していただいたほか、当日も参加してくださいました。※写真は長岡巾着なす
鈴木会長のお話によると、長岡の人はなすを買うとき、「煮なすください」とか「漬けなすください」と言って、用途に応じたなすを選ぶのだそうです。ということは、それだけなすの種類があるわけ。ところがなすを焼いて食べる習慣だけはない。その代わりといっては何ですが、蒸して食べます。長岡巾着でつくる「蒸かしなす」です。なすは焼かずに蒸して食べる…。県内には「新潟焼きなす」という、焼きなす用のおいしい品種があるのですから、長岡地区だけのユニークな食文化です。
長岡巾着の「蒸かしなす」は、今回、お話をしてくださった方全員の話題にのぼりました。蒸して冷たくしたものをからしじょうゆでいただくのですが、東京で真似をしてみても、長岡で食べたときの味にはならないから不思議です。
新潟は、一人あたりのなす消費量が全国一といいます。種類も生産量も多いのに、県外に出荷されないのはそのため。なすのように古い野菜は、地方ごとに独特の品種があり、食べ方があって、ほんとうにおもしろいと思います。
- 栽培地域・栽培者:新潟県長岡市を中心にした下越地方
- 果皮や果肉の特徴:丸に近い短卵型で、巾着型に近いしわは、十全なすより多い。十全なすに比べ、夏でも色落ちが少ないことから「黒十全」とも呼ばれる。泉州水なすの系統で、果肉にほどよい独特の締まりがある。
- 調理法、食べ方等:当座漬け、煮ものなど
- 栽培地域・栽培者:新潟県長岡市中島地区
- 果皮や果肉の特徴:典型的な巾着型の丸なす。果皮は春秋は色つやもよいが、夏は黒紫色から赤紫色に変わり、光沢も衰える。果肉はずしりと重く、締まりがよい。巾着型であるほど味がよいといわれる。
- 調理法、食べ方等:蒸して、しょうがじょうゆ、からしじょうゆなどがよく合う他、煮ても煮くずれしないので、地元では煮食用になくてはならない人気のなすになっている。
- 栽培地域・栽培者:新潟県豊栄市笹山地区
- 果皮や果肉の特徴:九州佐土原なすの系統を引く本長なす。果皮は夏になると赤紫色が薄くなり、色が悪くなるが、果肉共にやわらかい。
- 調理法、食べ方等:文字通りの焼きなす、あるいは蒸し(ふかし)なす専用の品種。焼きなすとしての食味は天下一品といわれる。
- 栽培地域・栽培者:新潟県白根市。かつて栽培されていた中蒲原郡十全村に因んだ名。泉州水なすがルーツといわれる。
- 果皮や果肉の特徴:果皮は、夏になると緑色にわずかに紫色になる程度で色は悪いが、やわらかく、果肉は大変締まっていて、食感がよい。
改良された黒十全(梨なす)が登場したことから、白十全、本十全などとも呼ばれる。 - 調理法、食べ方等:当座漬けにすると特長が生き、高級料亭などで利用されている。
- 栽培地域・栽培者:石川県金沢市大桑町地内 山崎吉則氏
- 果皮や果肉の特徴:短卵形の小なすで、果皮は薄く、色つやがよい。果肉はやわらかく、甘みがある。
- 調理法、食べ方等:・一夜漬け(塩をふり、糠に一晩漬ける)
なすそうめん(煮たなすにそうめんを入れて一煮立ちさせる)
なすのオランダ煮(なすをゆで、しょうゆ味で煮る。
- 栽培地域・栽培者:長野県小布施町で作られていた信州伝統野菜。栽培が廃れていたのを、小布施町の安藤利一氏の努力で復活。
- 果皮や果肉の特徴:果皮は黒紫色の巾着型で、浅い縦溝が入る。果肉がかたく、煮くずれしにくい。
- 調理法、食べ方等:煮もの、焼きものに。信州名物のお焼きにも使われてきた。
- 栽培地域・栽培者:山梨県甲州市 農業生産法人山本ファーム(有)のみのブランド野菜
- 果皮や果肉の特徴:果皮はナス紺色で美しく、果肉は緻密でうまみが濃厚
- 調理法、食べ方等:ナスステーキ、ラタトゥイユ、なすのひき肉はさみ揚げ、浅漬け、ナススープ、ナスカレーなど和洋中の幅広い料理に適する。
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