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2010年10月17日 (日)

野菜の学校(6) なつめ

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飛騨野菜をテーマにした10月の[野菜の学校]に、なつめが登場しました。

なつめは、7世紀に飛騨にもたらされたという、この地の伝説にゆかりのある果実です。ふつうは熟すると赤くなるのですが、ことしの異常気象のせいで、青いうちに収穫しないと熟さずに落ちてしまうので穫った、と聞いた記憶がありますが、確かではありません。
その後、[野菜の学校]に来てくださった方に確かめたところ、次のようなメールをいただきました。

赤くなったものは熟度は増して良いのですが、表皮が硬くなり、食べにくいといって昔から青いうちに取る人、赤みが強くなってから取る人などいろいろです。ただし、今年のように温度が高いと、表皮が青いうちに中身の熟度が増しすぎて、ちょっとボケたようになり、パリッとしていないものが発生します。こんな年は少し早めに収穫した方がおいしい「なつめ」がとれるので、早めにとりました。

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かじると青りんごのような味、といいます。その道の通にはいいかもしれないけれど、どうしても青いうちに生で食べなくちゃならない、とも思えません。

前に、長野産の熟したなつめをいただいたことがあります。それは確かにちょっとりんごを思わせる風味があって、案外甘かった。

■配付資料から

  • クロウメモドキ科。大きさは10mほど
  • 中国北部原産
  • 発芽が遅く夏に芽をだすのでなつめ(夏芽)と呼ばれる。日本では生産果実ではなく、ほとんど庭木。中国、台湾などではポピュラーな果物
  • 飛騨のなつめの由来は、7世紀末の壬申の乱で新羅の僧「行心」が大津皇子の謀反にくみし、飛騨の伽藍に流刑された際もたらされたとの言い伝えもあり、奈良の都を思う真情から「奈都女」ともされている
  • なつめの実を乾燥したものは大棗といい、強壮作用・鎮静作用が有るとされる。甘味があり、葛根湯などの漢方薬に配合されている
  • (生)エネルギー139kcal、ビタミンC 297mg、リン320mg:中国食品成分表より
    (乾)エネルギー287kcal、ビタミンB6 0.16mg、Ca 71mg、Fe0.8mg /100g(食品成分表)
    表面は暗紅色で臭いはほとんど無い。さくさくした歯ざわりで甘酸っぱい
  • 生食用には熟れた実のほうがおいしいが、加工用には色つきの少ない実のほうが煮くずれしない。生で甘露煮、ジャムなど。干しなつめは煎じて飲む、果実酒など
  • 一般的には煮詰めなど加工品や乾燥させて漢方薬の原料として使用するが、飛騨地域では生食でも食べられている
  • 韓国ではサムゲタンに入れたりなつめ茶として、中国では食用、薬用に重要な果実として栽培されている

▼なつめの甘露煮
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飛騨から「市販のなつめ瓶詰めを持って行く」と電話があったとき、「市販の瓶詰め」のなつめがあたりまえのようお話だったので聞きそびれてしまい、どんなものかしら、と思っていました。飛騨ではなつめといえば甘露煮なんですね、きっと。
おうちで作るなつめの甘露煮は、もっと甘くておいしいそうです。これより甘いっていうこと? それはなかなかスゴイかも。

▼右は生のなつめ、左は甘露煮
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コメント

昔、奥飛騨に旅行に行った際にも青い棗を売っていました。その時も異常気象だったんでしょうか。

地味な美味しさで俺は好きですけど、確かに万人受けする美味さじゃないですねー。

投稿: ライキリ | 2010年10月18日 (月) 23時13分

■ライキリさん
コメント、ありがとうございます。
そうでしたか。確かに、ライキリさんが奥飛騨で青いなつめを食べたときも異常気象だった、ということは考えにくいですね。私の聞き違いかもしれません。正確にはどんな話だったのか、確認してみますね。

投稿: クサマヒサコ | 2010年10月19日 (火) 08時37分

■ライキリさん
青いなつめのこと、飛騨から[野菜の学校]に来てくださった方にうかがいました。お返事をいただいたので、上の本文を書き替えております。ご覧ください。

投稿: クサマヒサコ | 2010年11月 8日 (月) 16時59分

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