第11回西洋なしフォーラム
土屋七郎実行委員長のあいさつの後、試食。24点を試食し、印象を書いて、1位から3位を選ぶのですが、これだけの数を食べくらべるのは、やっぱりなかなかむずかしい。いつものことながら、ベロメーター力も表現力もぜんぜん足りないと思いました。
お話は、NTCインターナショナル技術本部技術部顧問で東京農業大学客員教授の梶浦一郎氏。「日本の果物史から梨産業の進むべき方向を考える」
野生の梨から現代までの果物史、さらにこれからの方向までおよそ60分で話そうというのですから、盛りだくさん。もっと詳しく聞きたいと思いました。印象に残ったポイントは、以下の通り
- 「日本に梨は野生したか」という話題に関連して野生の条件とは何か。山に1本だけ生えていても野生とはいえない。動物がタネを運んだのかもしれないし、旅人が食べた梨の種かもしれない。だから、野生であると認めるには、群生していなければならない。
- 青森県に群生していた梨は野生の可能性はあるが、決定的なことはいえない。
- 民話「なら梨とり」において、梨は貧富の差なくだれでも採れる果物として出てくる。それは、野生、あるいは野生化した梨であることを示唆している。
- 群馬県は、かつて梨の生産と情報発信の地だった。その理由は、篤農家がいたこと。梨の生産も多かった。
- 「幸水」の出現(1959)、西南暖地での生産、高速道路、冷蔵車での輸送によって、暑い夏に冷やした梨を楽しむようになった。
- 「幸水」「豊水」が普及し、これら2品種の「肉質」「ジューシーさ」「甘さ」が、梨の基準となった。これらと同等以上の品質をもっている新品種として「あきづき」が有力。
- 江戸時代には、大都市の周辺にあって、荷車で梨を運んだ産地が、いまは梨のもぎ取り園として人気を呼んでいる
- 今後の育成品種としてはリンゴやバナナなどの香りのある梨。
お話の最後に、参考書として「梨の来た道~アジア浪漫紀行~」という本が紹介されました。これ、ネットで探したけれど見つからない。読んでみたい。
パネルディスカッション「みんなでわいわい西洋なし談義」の話題は、西洋なしが、同じく追熟の必要なキウイフルーツのように普及するにはどうしたらよいか。
西洋なしとキウイフルーツって追熟が必要な点は確かに似ているけれど、バックグラウンドはずいぶん違う気がします。西洋なしは古代から食べられて来たフルーツだから品種が多く、企業、資本、大組織といったものとの結びつきが薄い感じ。一方キウイフルーツは20世紀に作られたフルーツ。品種の数はそれほど多くなく、ニュージーランド企業のイメージがあるからか、大資本で組織的に動ける感じ…。西洋なしはまず、組織を作ることから始める必要があるのかしら。
| 固定リンク
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- パプリカペースト「アイバル」(2020.08.05)
- ティラミスチョコレート(2020.07.21)
「果物(梨・りんごなど)」カテゴリの記事
- くだものの秋(2017.11.02)
- 新王と新美月(2016.10.03)
- 果樹楽園 うばふところ(2016.10.02)
- リーガル・レッド・コミス(2016.10.01)
- 西洋なしフォーラム「ジェイドスイート」(2016.09.30)
「青果イベント」カテゴリの記事
- ART+EATでTALk+EAT 伝統野菜はおもしろい!(2018.07.17)
- 産地見学<ゆうがお畑とかんぴょうむき>(2018.06.22)
- 「牧野野菜」の試食(2018.04.15)
- 「牧野野菜」の食べくらべ(2018.04.15)
- 「牧野野菜」のまめ-3 唐人豆(2018.04.14)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんにちは、「あしたね研究所」山本です。
インパクトのある写真を拝見し、
思わずコメント欄に文字を打ってしまいました。
しかし集められた洋梨の種類、凄いですね。
洋梨を追いかけて15年余り、
私がスーパーマーケットや果樹園の取り寄せ、
旅先でボチボチ入手できた品種は30種足らず、
流石フォーラムとなると、瞬時に50種集まるんですね。
しかし、毎度草間さんのコラムを拝読させて頂くたび、
素晴らしい立ち位置に居られる事に
頼もしいやら、羨ましいやらです。(笑)
ちなみに私が知る限り、
個人的なベストは「ドワイエンヌ・デュ・コミス」
しかしセレブすぎて私のような小市民には
なかなか手が出せません。
で、その代わりと言っては失礼ですが、
そのコミスの血を引く「ゼネラル・レクラーク」が
大衆価格で美味しく、リピート洋梨であります。
後「シルバーベル」も好きですね。
要するに、「甘」「酸」「香り」が明確で、
「果汁」が多ければ申し分ありません。
人って、欲張りですね(笑)
ps.
追熟ですが、洋梨の場合品種特有の頃合いが異なりますから、
ライトな果物ユーザーには見極めが難し過ぎる気がします。
食べごろを伝える事の出来る店頭販売者が
購入者に直接伝えられれば良いのですが。。。
プロとしてのスキルが無い販売者が多い昨今、
少々淋しい感じです。
誠にもどかしい。。。
投稿: 山本ケイジロウ | 2010年11月15日 (月) 11時14分
■山本ケイジロウさま
コメントありがとうございます。
このフォーラムでも、西洋なしが普及しない理由としていつも話題になるのは、食べごろのわかりにくさです。
ちなみに、今回の西洋なしフォーラムでのアンケートにおける品種の人気ベスト3はバラード、コンファレンス、ラ・フランスで、コミスは4位とか。この結果は、10月末という時期にも関係しているとのことです。
投稿: クサマヒサコ | 2010年11月15日 (月) 14時22分