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2010年11月14日 (日)

野菜の学校(4) 宝谷(ほうや)かぶ

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「宝谷かぶ」は山形県鶴岡市櫛引地域の山間、宝谷という地区に伝わる長さ20㎝ほどの青首の白い長かぶ。「温海かぶ」や「藤沢かぶ」同様、焼き畑で作られている貴重品です。

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今回の〔野菜の学校〕の講師、江頭宏昌先生は「宝谷かぶ」について、山形在来作物研究会の機関誌「SEED」に興味深い話を書いています。まとめてみると

  • 「宝谷かぶ」の伝統的な呼び名は「ほうやかぶら」。宝谷では、「温海かぶ」のような丸いかぶを「かぶ」、長かぶを「かぶら」と呼んで、区別してきた
  • 宝谷かぶの来歴の詳細は不明だが、天保堰の掘削(1832~1838)には存在したと伝えられることから、少なくとも160年の歴史がある
  • 宝谷には「なつのさぶいとしは、かぶらまけ」ということばがある。かぶは生育が早く、お盆過ぎにタネを蒔いても降雪前に収穫期できるので、飢饉の備えにした

以下は配付資料からそのほかのこと

  • 宝谷かぶは青首ダイコンをぐっと小ぶりにし、中ほどで心持ち折れ曲がった細長い形状の白かぶ。田畑の急なのり面を活用した焼畑農法で栽培されてきた宝谷かぶは、積雪が比較的少ない庄内地方でも降雪量の多い山間部にある宝谷地区では冬場の貴重な保存食として大切にされてきた
  • 「宝谷かぶ蕪主」制度とは
    絶滅の危機にある宝谷かぶを作り続ける畑山丑之助さんを支援するため、地元行政の主導で民間有志が一口7,000 円で「蕪主」となる制度を立ち上げた。蕪主は収穫された宝谷かぶを配当として入手できるほか、真夏に行われる急斜面への火入れと播種、山里に雪が降り始める頃に行われる収穫作業に参加した後、宝谷かぶを使った奥田政行シェフと知憩軒の長南光さんの手になる和洋の創作料理を味わう「蕪主総会」に参加する権利を得るというもの

宝谷かぶのレシピブックが全員分届きました。表紙の写真は、アル・ケッチァーノの名物メニュー「宝谷かぶのピザ」です。
Photo

かぶというと、これまでの用途は漬けものか汁ものの具材と伝統的な料理に限られていましたが、このレシピ集には、ピザをはじめ、サラダやパスタ、餃子、炒めもの、てんぷら、などなどバラエティに富んだメニューが並んでいて、今の私たちの食卓にすぐにものる野菜だよ、と教えてくれます。

▼試食は、生地から作った「かぶのピザ」
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今回集まったかぶたちをのせて焼きました。

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