[野菜の学校](10) 食べくらべ
それぞれについて、『野菜の博物誌』(八坂書房)の「野菜の名称」という章で、青葉高先生は、次のように書いています。
関東市場でアサツキと呼んでいるのはたいてい若いネギで、本来のアサツキは東北地方ではかなり栽培しているが、東京市場にはあまり出ない。また関東市場でワケギと呼んでいるのは分けつ性のネギ、ワケネギのことが多く、これは千葉県で苗を栽培し、埼玉、東京、千葉などで栽培している。本来のワケギはおもに冬から春に生産され、夏には葉が枯れて球を作る。しかしワケネギはネギなので夏も枯れない。園芸統計をみると、ワケギの栽培のもっとも多いのは広島県で、二位が千葉県になっている。しかし千葉県では本来のワケギはあまり栽培されていない。
わけぎは古くからねぎの中の一種とされてきましたが、DNAの研究から分球性のねぎと分球性のたまねぎとの雑種とわかりました。青葉高先生は、『日本の野菜』(八坂書房)で、「わけぎ」を「ねぎ」や「たまねぎ」と同じレベルの独立した項目として扱っています。
▼ひともじ(くまもと)
昔、ねぎの名前は「き」と一文字だった。そこで、平安時代の宮中では「ひともじ」という優雅な名前で呼ばれたといいます。熊本の「ひともじ」は「本来のワケギ」であり、ねぎとは別物なのですが、これにねぎの古い呼称がついているのは、ねぎとわけぎが分けて認識されていなかったことを示しています。
▼わけぎ(広島)
これが「本来のワケギ」で、「栽培が最も多い」広島県産。
上記「東北地方でかなり栽培している」という「本来のアサツキ」。
これが関東地方の「わけぎ」で、上記「関東市場でワケギと呼んでいるのは分けつ性のネギ、ワケネギのこと」。このパッケージには「わけねぎ」と書いてあります。
▼番外・あさつき(埼玉)
上記「関東市場でアサツキと呼んでいるのはたいてい若いネギ」とは、これです。
まあ、けっこうややこしい。
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