[野菜の学校](9) つけ菜類の食べくらべ
▼大和まな
つけ菜類のうち、もっとも古い形が残っている種のひとつといいます。やわらかく、味のある葉っぱ。生で試食したかったという意見も出ましたが、フツーは生で食べないからなぁ。どうなんだろう。
▼小松菜(東京産)
大和まなとは反対に、繰り返し人の手が入り、モトになった菜とは相当変化している。ちんげん菜とのかけあわせのおかげで、美しく強い姿になったといいます。といって、味もそう悪くないと思う。
▼べか菜(東京産)
明治初年に日本に入ってきた山東菜の中から選抜育成した、極早生の半結球山東菜。江戸東京の伝統野菜の一つ。クセがなくて、でも味があって、油揚げとの煮びたしにするのが好き。
▼しんとり菜(東京産)
かつて葉の内側の柔らかい芯の部分を使ったことから「しんとり菜」と呼ばれている、とよく書いてありますが、芯の外側はどうしたんだろう、なんだかもったいない、と思う。これも煮びたしが私の定番。
▼野沢菜(群馬産) ※参考展示
野沢菜=長野と思っていましたが、群馬産です。大阪の天王寺蕪を、僧侶が長野に持ち帰り栽培したら、葉のほうを食べる野菜になったという伝説の葉っぱ。野沢菜漬けはよく食べますが、生の野沢菜を見るのは初めてです。
話題になったのは「つけ菜」とは何か、どう表記するのが適当かという話です。まとめてみると
- 「つけ菜」ではなく、「つけ菜類」というほうが正しい
- つけ菜類とは、植物分類的には、アブラナ科アブラナ属の非結球野菜の総称
- 「ツケナ」の音から「漬け菜」と受け取られ、「漬け菜」と表記されている例をよく見かける
- 「漬け菜」は第一義的には「漬けもの用の菜」のことで、用途を示しており、植物分類上の表記としては適当ではない。
私は、野菜の神さまといわれた江澤正平先生から、ツケナは「菘」という漢字一文字の表記が正しい、とうかがいました。「菘」については、『野菜の日本史』(青葉高・八坂書房)に次のような記述があります。
- 『古事記』の和歌とその解説に、「菘菜」「菘」という表記があり「アオナ」というルビが振られている
- 『本草和名』においては、種類名:菘、別名:牛肚白菘、和名:多加奈(タカナ)、現在の種名:ツケナ
※「牛肚白菘」は何と読むのだろうか - 『本草和名』に関する注に下記の説明あり
牛肚菘葉大、索菘葉薄との解説があり、牛肚菘は結球白菜の原始型といわれている。菘の和名をタカナとしているが、これは誤り、菘はツケナ、中国の白菜である。(ということは結球野菜?)
で、結論。私はやっぱり「つけ菜」と書こう。
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