宴の野菜度012 押上「よしかつ」
◇江戸東京野菜研究会の大竹道茂先生からお誘いを受け、山形大学の江頭宏昌先生が会議のために上京なさる夜のお食事に、ごいっしょすることができました。クサマ一人では、みんなに恨まれるので[野菜の学校]のスタッフも、とお願いし、あっという間に集まった希望者5名が、押上「よしかつ」へ。
◇ことし1月に、この「よしかつ」で開かれた、江戸東京野菜普及推進連絡協議会総会に出た料理は「らしくない」。で、いちど連れてきたかったと大竹先生。先生とごいっしょなら、それは違うでしょう。東京の食材づくしの宴は、珍しいビールから始まりました。
「これはなかなか手に入らないビールです」と大竹先生。今年は1万2千本しか作らず(作れず?)、店主の佐藤勝彦さんが並んで買ったものだそうだ。
このビールがなぜ江戸東京産の食材を使うお店「よしかつ」で出てくるかというと、原材料のビール麦「金子ゴールデン」がすごい。明治33年(1900年)、現在の練馬区豊玉南の金子丑五郎氏が作った国産初のビール麦なのです。交雑親は六条大麦「四国」×米国ビール麦「ゴールデンメロン」。一時は関東一円で栽培されていたといいます。
消滅した金子ゴールデンが復活したのは2003年。JA東京あおばと区内の農家が、練馬区のサポートを受け、金子ゴールデン栽培→地ビール製造を始めました。
▼お通し
東京シャモのスモーク、スプラウトは静岡、むら芽は足立
▼漬けもの
三鷹でとれた千両なす、きゅうりは練馬産、水菜は清瀬産
▼お刺身
金目鯛(神津島)、すみいか(東京湾)、あおやぎ(富津)、大葉と穂紫蘇(葛飾)、むら芽(足立)、みょうが(瑞穂町)、わさびは奥多摩。おしょうゆは羽村近くのキッコー五。
▼さといもの炒め イカの塩辛
さといも(八丈島)、いかの塩辛(神津島)、みょうが(三宅島)
▼ざる豆腐
豆腐の原料は青梅在来大豆。豆腐づくりに使ったひんぎゃのにがりとひんぎゃの塩は青ヶ島。つる菜は足立産。
▼なすの炒めもの
寺島なすと青なすはいずれも東久留米。ごまは西多摩郡瑞穂町の金胡麻。
- 府中ロマン(黒米)
- 清瀬にんじん(ベータキャロット)
- 千住ねぎ(葱茂のねぎ)
- 中野甘藍
- 練馬だいこん
- 檜原じゃがいも
- 江戸川小松菜
- 明日葉入り麦焼酎
- 八丈島さといも
- 青島大麦(あおちゅう)
- 東久留米柳久保小麦
◇最後にいただいたのは、「もんじゃ赤と黒」。おいしそうに写せなかったので、写真はカット。
赤はトマト、黒はいか墨を使ったもんじゃ焼きです。
もともと「よしかつ」は、もんじゃ焼きのお店としてスタートしたのだそうです。江戸東京の食材にこだわるようになったきっかけは、「もんじゃ焼きは値段との戦いですから…」と佐藤さん。なるほど。値段との戦いは、ツライ消耗戦になるだけでなく、これだけ食材にこだわり、創意工夫、努力される方にとっては、面白くないでしょうね。
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