「クイーンニーナ」という新しいぶどう
講演では、ブドウの原産地、世界の生産、品種などのプロフィール、日本で巨峰が生まれるまでのプロセス、今後の展望に続き、クイーンニーナが紹介されました。
- 日本における1982年と2008年の栽培状況を比較すると、82年のトップはデラウェア(35%)、次にキャンベル(19%)、続いて巨峰(18%)とバラエティがあったが、2008年には巨峰(35%)とピオーネ(14%)だけで生産面積の半数を占めており、これらとは外観や食味の異なる品種が求められていた。
- 「クイーンニーナ」は、果皮が赤色をした大粒の新品種。「安芸津20号」と「安芸クイーン」を交配して生まれたもので、「巨峰」や「ピオーネ」よりやや遅い時期に収穫でき、栽培によって種なしにもなる。
- 粒の大きさは17gと大粒。糖度は、「巨峰」、「ピオーネ」より高く、酸含量は少なめ。「巨峰」、「ピオーネ」より果肉が硬くて食感にすぐれ、香りもよいぶどう。
- 「クイーンニーナ」の「クイーン」は「安芸クイーン」から、「ニーナ」は旧系統名「安芸津27号」の「27」から。スペイン語で女の子を意味する「NINA(ニーニャ)」にちなんで、「クイーンニーナ」と命名。
赤系どうしで「ゴルビー」と食べくらべました。「クイーンニーナ」は確かに甘い。「甘すぎて、一房食べられない」という人もいました。
桃の「つきあかり」、梨の「秋麗」、今回のぶどう「クイーンニーナ」と、このところ出合う新品種はみな甘い。必ず「甘すぎる」という意見が出る。くだものは何になりたいのだろう。スイーツ? ジャンクフード?
※以下、解説は配付資料から
▼クイーンニーナ(東広島市 果樹研ブドウ・カキ研究拠点産)
- 一粒17g程度、肉質はかみ切りやすく、硬い
- 糖度22%、酸含量0.4g/100ml程度、フォクシー香
- ジベレリン処理によりタネなし栽培が可能
- 果樹研育成、品種登録2011年3月
- 交雑親:安芸津20号×安芸クイーン
- 2010年秋より苗木販売開始
- 一粒15~16g
- 糖度20~21%前後、多汁、フォクシー香
- ジベレリン処理によりタネなし栽培が可能
- 植原葡萄研究所1983年栽培
- 交雑親:レッドクイーン×伊豆錦3号
▼巨峰
- 一粒12g程度、果肉は崩壊性と塊状の中間
- 糖度18%以上、酸含量0.5g/100ml程度、フォクシー香
- 大井上康氏が1937年ごろに、「石原早生」(「キャンベルアーリー」の4倍体)に「センテニアル」(「ロザキ」の4倍体)を交雑して、1945年ごろに発表
- 品種別の生産量は日本一
- 主産地:長野県、山梨県、福岡県など
- 一粒13g程度、果肉は崩壊性と塊状の中間
- 糖度18~20%、酸含量0.4g/100ml、フォクシー香
- 果樹研が「巨峰」の自殖実生から選抜し、1993年に品種登録
- 主産地は岡山県、三重県、山形県、広島県
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