[野菜の学校](2) 仙台伝統雪菜
▼仙台伝統雪菜
<プロフィール>
- 「小松菜」「信夫菜系(福島市渡利地区)」の冬菜(「大崎菜」「長岡菜」という説も)で、仙台市の南部を流れる名取川の肥沃な沖積土壌で独特の分化した野菜と考えられている。
- 仙台地域でいつ頃から栽培されていたかは不明。吉野平八著「蔬菜栽培法」(明治39年)にある「冬菜(仙台にては雪菜と称す)」が現在の仙台雪菜と思われる。
- 渡辺採種場カタログには昭和初期から仙台雪菜の名前が登場する。昭和8年(1933年)の価格は1合18銭。
- 山形県米沢市付近で栽培されていた雪菜の栽培方法を真似て、在来の冬菜を栽培したのが仙台雪菜ではないかと推測される。
- 形状は葉は丸形で厚く濃緑色、葉柄は長く草丈は25~30㎝、耐寒性は強いが、耐雪性はやや弱い。初冬の霜に数回当たってから収穫すると、ほろ苦さと甘みがほどよく調和し、独特の風味がある。春に抽苔した茎立菜は独特のぬめりがありさらに風味を増す。
- 栽培は8月下旬~9月下旬・10月上旬の播種で、10月上旬~翌年の春の4月(茎立菜)に収穫。
<栄養効能>
- 食品成分表の小松菜の注釈には<「きょうな」、「たいさい」等と類縁で、冬菜(ふゆな)又は雪菜(ゆきな)とも称される>とある。
- 小松菜の成分値はエネルギー14kcal、カロテン3100μg、カルシウム170mg、ビタミンC39mg。
- アブラナ科の野菜は、辛み成分(イソチオシアネート)を含むのが特徴。
<基本調理法料理例>
- 食べ方はおひたし、煮浸し、みそ汁の具、炒め物、天ぷらなどが一般的。
- 青菜炒めや炒飯等の中華風炒め料理にもあう。
- 春にとうだちしたつぼみも風味がある。菜の花の浅漬けとしても使われる。お雛様のからし和え、ハマグリのお吸い物、おすしの具に。
▼仙台雪菜
現在仙台市内等で栽培されている「雪菜」「ちぢみ雪菜」は、如月菜系統のつけ菜で、伝統的仙台雪菜とは別もの。葉っぱの形もサイズも違います。
▼仙台雪菜比較
右は伝統的な仙台雪菜、左はいま販売されている仙台雪菜。
▼山形の雪菜(写真は2009年2月[八百屋塾]の雪菜)
遠山かぶと長岡菜との自然交雑から選抜した菜の花茎を雪の中で軟白栽培したもの。仙台雪菜は、この雪菜の栽培を真似したのだそうですが、姿も味もぜんぜん違います。
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