[野菜の学校](3) 仙台芭蕉菜
東北から北関東地方にかけて、古くから「芭蕉菜」と呼ばれるつけ菜が栽培されています。岩手や福島で栽培されている芭蕉菜はタカナの仲間。これに対し「仙台芭蕉菜」は和種ナタネ類から分化したしたもの。それなのに、どちらも「芭蕉菜」と呼ばれるのはなぜか。どちらも葉が大きく、芭蕉の葉に似ているからだそうです。
<プロフィール>
- アブラナ科。地中海沿岸、トルコ、イランなどを原産地とする和種アブラナ科から分化したもの。
- 「蔬菜栽培法」の中に「三河島菜(仙台にては芭蕉菜と称す)、東京都荒川区三河島で作られていた三河島菜が仙台芭蕉菜の起源と思われる」とある。
- 三河島菜は江戸時代初期に三河(愛知県)の百姓が、現在の荒川区三河島に入植し作り始めたともいわれる漬物用菜。その評判が高く、寛政年間(1789~1801年)に鷹狩りに出かけた将軍に三河島菜の漬物を供していたという。以降、昭和初期にかけて盛んに作られていたが、白菜にとって代わられ、東京では消滅した。
- 江戸時代には三河島菜が広く知られており、仙台に導入されたものが仙台芭蕉菜として知られるようになったと思われる。ただし、東京都農業試験場保存の絵と違う。
- 三河島菜同様、白菜の普及に伴い栽培が減少。
- 葉色はやや淡く、葉の中肋が長く、葉の縮みは少ない。
- 大型の葉で草丈が60cm以上になり、耐寒性はやや強く、草勢が旺盛で栽培しやすい。
- 現在では自家用として県北部でわずかに栽培されているのみ。
- 8月下旬~9月中旬に播種し、草丈が40~50cmになる10月中下旬から収穫する。
▽三河島菜に関する記事はこちら
里帰りした三河島菜
<栄養・効能>
- アブラナ科の野菜は、辛み成分(イソチオシアネート)を含むのが特徴。
- 芭蕉菜の成分値はないが、葉はビタミンA、C、カリウム、カルシウム、鉄などを含むと推測される。
- 和種アブラナ科のカブの葉の成分値は、エネルギー20kcal、タンパク質2.3g、β-カロテン2800μg、ビタミンB1 0.08mg、B2 0.16mg、8mg含む。
<基本調理法・料理例>
- 仙台芭蕉菜は辛みがなく、茎、葉ともやわらかい。独特の風味がある
- 漬け菜として利用することが多い。熱湯で湯通ししてからつけるとやわらかく漬かる。
- 漬けた葉でごはんを巻いたり、炒め物、鍋などに。古漬けは煮物にしたり、味噌樽(仙臺味噌)につけ直す方法も。
- 間引き菜は、汁のみ、浸し物、浅漬けにする。
▼南部芭蕉菜
南部芭蕉菜は、カラシナ類で、植物学的には高菜等と同じブラシカ属ユンセア種。辛味が強い。
- 仙台芭蕉菜:和種ナタネ類、ブラシカ属ラパ種
- 南部芭蕉菜:カラシナ類、ブラシカ属ユンセア種
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