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2011年12月27日 (火)

[野菜の学校](11) たくあんの贅沢煮

12月の[野菜の学校]の講師、長朔男先生は、滋賀の食事文化研究会にご夫婦で参加しておられます。[野菜の学校]当日は、おくさまもお見えになり、お手製の伝統料理をお持ちくださいました。「たくあんの贅沢煮」もその一つ。

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▲たくあんの贅沢煮。「贅沢煮」というだけあって、昆布や煮干しがふんだんに入った煮ものです。色を見ると濃い味がしそうだけれど、やさしくて滋味深い味わい。

長先生がくださった『くらしを彩る近江の漬物』(滋賀の食事文化研究会編・サンライズ出版)には、「タクアンの贅沢煮となすの塩切りナスの炊いたん」という一節があります。その要旨は

湖北町では葬式に必ず「古漬けタクアンの贅沢煮」と「塩切りナスビの煮もの」を出す風習があり、突然の弔事に備えて、どの家でもタクアンと塩切りナスビを大量に漬けておく。
漬けものの煮ものはまず塩を抜くことからはじまる。充分塩抜きできたら刻んで、出汁、味醂とともにじっくりと時間をかけて煮込む。タクアンの贅沢にとナスビの煮ものは質素だが、手間ひまかけたおいしさがあり、仏事にふさわしいお菜となる。

長先生は、滋賀の食文化研究会の会報を2冊ご持参くださいました。年間の活動報告のほかに、2号とも「ハレの食」が特集されています。さまざまな研究発表があり、近江というところが、食文化の広がりと深さをもった歴史のある土地であることがわかります。

▼滋賀の食事文化研究会年報 2010年
2010_rtc

特集<ハレの食>の投稿論文の一つは、長朔男先生の「“ソバ・そば・蕎麦”と石臼」。ほかに、「大津市千町・山のある農村の暮らしと祭りの食/堀越昌子氏」、「巻き寿司用海苔の製法について/粕淵宏昭氏」

▼滋賀の食事文化研究会年報 2009年
2009_rtc

特集<ハレの食>の自由課題に、長朔男先生ご夫妻は「杉谷なすび-忍者の里のなすび-」という論文を出しておられます。杉谷地区でしか育たない伝統野菜の復活の物語です。大きな大きな「杉谷なすび」に、ぜひお目にかかりたい。

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コメント

草間様
有難うございました。
江戸野菜のサイト拝見しました。実は
”家庭菜園のウソ、ホント”みたいな番組
を企画したおりまして、
1、最近震災後家庭菜園の増加傾向
2、無責任な家庭菜園、中断、虫、匂い等
3、無農薬、農薬使用者それぞれの言い分
4、安心、安全な野菜作り
こんな内容で考えています。
また解らないこと教えてください。
それでは良いお年をお迎えください。

投稿: katsukawa | 2011年12月27日 (火) 16時19分

昨年「野菜の学校」でお世話になりました滋賀県の長朔男です。
新春をお喜び申し上げます。
「滋賀の食事文化研究会」の活動や伝統野菜についてご紹介いただきありがとうございます。
食の文化を考え、見直される事は、地産地消・持続循環社会を願う活動そのものである、と考えております。今後とも貴団体と手を携えて活動ができることを希望します。

投稿: 長朔男 | 2012年1月 4日 (水) 16時40分

■長朔男先生
ブログをごらんいただき、またコメントもちょうだいし、ありがとうございます。
滋賀の食文化については、味の素の「食の文化フォーラム」シリーズのなかで堀越昌子先生が執筆された「近江の郷土食」というレポートを拝読して以来、興味を持っていました。このたびいただいた資料からも、みなさまがたいへん熱心に活動されていることが伝わって参ります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: クサマヒサコ | 2012年1月 5日 (木) 13時06分

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