[野菜の学校](12) 蛭口(ひるぐち)かぶの甘酢づけ
長先生は、『くらしを彩る近江の漬物』という本をくださいました。
- 歴史の中で育まれた漬物文化
- 近江の漬物歳時記
- 現代の漬物事情
上記3章からなり、近江の漬けものに使われる野菜の紹介もあります。たとえば下記は、第1章「近江から発信された野菜文化」の記述。
堅田から京へ伝えられて聖護院かぶらとなって京名産の千枚漬けを生み、山田だいこんは冬の葉付大根糠漬、ゆるぎ蕪は糠漬けにと日本の伝統食品として、次々に京都の地に漬けもの文化の華を咲かせる重要な役割をはたしてきた…(以下略)…。
日野菜カブは…(中略)…、佐久良漬として最古級のブランド漬けものの栄誉に今も輝いている。江戸幕藩体制に組み込まれた蒲生氏郷の転封に従って日野菜蕪は伊勢松坂、会津若松に根を降ろし、さらに蒲生忠知によって伊予松山に根付いたのが「緋のかぶら」といわれている。
山形県には最上町に「最上かぶら」という漬けものがあるが、青葉高博士の指摘する「肘折かぶ」の系列種ではないかと思われる。いずれも日野菜カブの変種ではないか。
…(略)…江戸時代にこれが広く全国に広まった背景として、全国にわたって販路を持つ日野の売薬商人たちが、日野菜蕪の種子を得意先の農家に持参し、栽培と漬けるノウハウを提供し、日野菜カブの成長を通じて互いの信頼関係を育成した商人魂の賜物であると、近江日野商人館長の正野雄三氏(日野市)は指摘している。
そうか。今回は山形から「宝谷かぶ」を取り寄せましたが、山形のかぶは「日野菜」から生まれた可能性もあるわけだ。野菜が広がっていく経緯には、とても興味をそそられます。
▼くらしを彩る近江の漬物(滋賀の食事文化研究会編・サンライズ出版)
ちなみに以下は、『野菜』(青葉高著・法政大学出版局)の「蛭口かぶ」に関する記述
高島郡西庄村大字蛭口の特産で、明治初年に彦根地方が購入した赤カブから変わりものとして生じた品種といわれている。根は円錐形で、彦根カブ同様根も葉も鮮紅色になる。葉に毛がなく、A型種皮で和種系品種である。カブの肉質は硬く、専ら漬物にして用いる。
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