[野菜の学校](2) 余呉の山かぶら

焼き畑で作られている貴重なかぶ。その姿は、とても迫力があります。
こんな風にひげ根をたくさん出しているのは、土地がやせていて栄養分に乏しいから、と、意見交換コーナー司会のヤマケンこと山本謙治さん。もじゃもじゃのひげ根は、かぶが一生懸命根をはって栄養をとろうとしている現れなのです。
<プロフィール>
- アブラナ科。
- 余呉町は滋賀県の最北端に位置し、水田の少ない谷すじの地域。余呉の山かぶらは山間部の焼き畑農業の伝統を残す貴重なかぶ。
- 昭和40年頃まで、炭焼きや養蚕が行われ、山深い急傾斜のところでも桑が植えられていた。この地域の桑は3年に一度、枝を切り払い、生い茂った雑木や下草とともに火をかけ焼き払い、桑枝の更新を行う。焼き払った後に、山かぶらが作られた。7月20日頃までに枝などを払い、お盆の前に山に火を入れ、8月23日から9月上旬までに山かぶらを播く。かぶらを収穫した後、2年目はそばや小豆、3年目は桑の葉が茂るようになる。そして、再び火をかけるというサイクルで山の桑畑を守ってきた。現在では焼き畑はほとんどしなくなった。
- 焼き畑は焼くことで虫が発生しなくなり、灰が肥料になるため新たな肥料が不要。山かぶらの種は蒔いた後水をまかなくても発芽し成長する。山かぶらは寒くなっても大きくなるため、10月下旬から雪を掘りながら3月下旬まで収穫を行った。
- 現在では主に休耕田で栽培されており、20~30cmの小型のかぶで葉も根も赤黒い。根の部分は、10cmほどでドラム缶型やだるま型、根の部分の肉質は大変堅く、葉に細かな毛がある。切ると、根の中は外ほど赤くなく、赤い色素の粒が点在している。
- 昔ながらの焼き畑のかぶは、今のものより葉が小さく、香りが強かった。
<栄養・効能>
- かぶはエネルギー14kcal、水分95.2g、カリウム220mg、ビタミンC19mg/100g含む。
- 赤い色はアントシアン。
<基本調理法・料理例>
- かぶらは、主にぬか漬けにする。収穫後、軒下などで干すと、かぶの赤い色はより濃くなる。渋みが強く、素朴な味で歯触りはねちっこく、味わい深い複雑な味がする。
- 余呉山かぶら 1.2㎏
- 貝柱 適量
- 酒 120cc
- 塩 適量
- 薄口しょうゆ 大さじ1
- 貝柱は戻す。
- 山かぶらはさっと茹でる。
- 鍋に、1と2を入れ、ひたひたの水と酒を加える。
- かぶがやわらかくなるまでコトコト煮て、塩、薄口しょうゆで調味する
かぶの用途は伝統的に漬けものが多いのですが、[野菜の学校]の調理班は、今回も現代の食生活に利用できるメニューにチャレンジしました。みな好評でしたが、これは、私にはちょっと塩味が足りなかった。
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