[野菜の学校](7) 伊吹大根
以下は「伊吹大根」に関する配付資料から
<プロフィール>
- アブラナ科。
- 根の長さが15~20cm程度。形や大きさから「ねずみ大根」、急に尻尾の部分が細くなる所がマムシに似ているので「蝮大根(まむしだいこん)」、「からみ大根」「峠大根」とも呼ばれる。
- 葉の形は通常のだいこんと同じだが、葉、葉柄と首の部分が少し赤くなる。根は白色で、青首だいこんと同様に地上に出ている部分は緑色がかる。
- 上板並地区、下板並地区、大久保地区などで生産。作りやすく、何にでも利用でき、味も良かったことからよく作られた。
- 地元では「けっからし大根」とも呼びばれ、収穫のとき、蹴ってだいこんを掘り起こすことができるほど、根が浅く入っているため、このように呼ばれたといわれる。
- 辛味があるのが特徴。灰質の土質と山間の温度差がこの辛みを生むといわれ、この地域以外のところで作っても辛みが出ない。
- 肉質は緻密、水分が少なく堅くしっかりして、でんぷん質が多く、貯蔵性がよい。
<栄養・効能>
- だいこんのエネルギーは根が水分94.6%、エネルギーは18kcal、炭水化物4.1g(糖質2.7g・食物繊維1.4g)、糖質の大部分がブドウ糖、ビタミンCが12mg/100g含まれている。
- 消化酵素のジアスターゼを含んでおり、消化がよい。
- 辛味はイソチオシアネート。
<基本調理法・料理例>
- 味が濃く、しっかりした味のだいこん。
- 煮物、漬物、だいこんおろし、何にでも使える。
- 伊吹町はそばの産地でもあり、だいこんおろしをそばの薬味にしたり、そばにかけて食べる。
- 漬物は歯切れが良く甘味がある。
- 煮物はやわらかく煮え、くずれにくく、味もしみこみやすい。
講師の長朔男先生がくださった『くらしを彩る近江の漬物』(滋賀の食事文化研究会編・サンライズ出版)には、配付資料にはない記述もあります。その一部をまとめてみると
- 伊吹山麓で育った滋賀の在来種。
- 一説によると、縄文期に中国から越前海岸か若狭湾に上陸し、伊吹山にそばとともに渡来。これが事実であれば、日本最古級のだいこん。
- 江戸時代の『日本山海名物図絵』『和漢三才図会』『本草図譜』に、近江の特産物として登場する。
- おろしだいこんにすると特有のきつい辛みがある。
- 昭和初期まではこの周辺で広く栽培されていたが、次第に宮重系のだいこんに取って代わられた。現在、復興をはかろうと漬けものの販売やおろしそばを食べさせるそば屋が誕生し、地元の期待を集めている。
覚悟して食べた。なるほど辛い。でも、甘みもありました。
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