八百屋塾 (4) 長野県山ノ内町のりんご
12月の八百屋塾には、秋に「出張八百屋塾」が行われた長野県山ノ内町の方たちが、りんごの紹介に来てくれました。やはり作っている人たちのお話は興味深かった。
▲完熟品したりんごはどれ?
完熟しているのは左。真ん中は青みが残っている。右は「着色系」といい早く色が入るように改良したもの。いずれも完熟すればおいしい。
- 「ふじ」は、だいたい満開後185日で完熟する。今年の開花は5月5日頃に始まり、満開は5月13日頃なので、完熟する時期は11月の半ば過ぎ。
- 山之内町では12月に入ると雪が降る。その前11月いっぱいに収穫する。
- 今年は完熟するのが遅かった。花芽や樹の状態にバラツキがあるのでいいものからとり始める。
- 「シナノゴールド」は長野県のオリジナル品種。「シナノスイート」「秋映」とあわせて「リンゴ三兄弟」として売り出している。
- 味が濃厚。果肉はかたく、シャキシャキとした食感。ジューシー。非常に食味にすぐれている
- 日持ち性と貯蔵性がよい。常温で3週間、冷蔵では約3ヶ月持つ。
- 品質はすぐれているが、「りんごは赤」というイメージか強く、黄色いりんごは苦戦する。
- 黄色いので収穫適期の判断が難しい。未熟果でとってしまい、酸味や渋みが残ることがある。今年は9~10月の温度が少し高かった。酸抜けが例年よりも早かった。とてもおいしく仕上がった。
- 果肉がかたく、貯蔵性が高いという「シナノゴールド」の特徴を生かして、春先、減酸貯蔵をして酸の抜けた頃に売っていただくとよいのではないか
- 10月28日に開催された長野県のコンクールに出してみたところ、3位の賞をいただいた。
- 長野県とイタリア最大の産地、南チロルの生産団体が契約を結び、「シナノゴールド」はヨーロッパデビューする。
- 「ぐんま名月」は群馬県が「あかぎ」と「ふじ」を交配。赤と赤を交配して黄色いりんごになった、ちょっと珍しい品種で、1991年に登録された。
- 山之内町では「ふじ」の受粉樹として育てている。「ふじ」は、違う品種の花がないと、大きく丸くならない。人工授粉の作業は大変な労力で、花が一気に咲くと間に合わないこともある。そこで、「ふじ」の畑の中に違う品種のりんごを入れる。以前は「王林」を入れていたが人気がなく切られてしまったので、畑に受粉樹がなくなり「ふじ」の品質が落ちた。「ぐんま名月」は「王林」に代わる受粉樹で、今、しだいに普及してきている。
- 「ふじ」の空いている樹に高接ぎをして4年目くらい。今年はかなりとれた。消毒など年間の労力を考えると、経済的には、受粉樹からもおいしいりんごができて売れなければならない。
- 普通において2週間、冷蔵すれば1ヶ月は持つ。
- 「ぐんま名月」の皮はやわらかく皮ごと食べられるくらい。打撲になりやすいので、取り扱いに注意が必要。クッションを敷いたり、キャップに入れるといい。
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