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2012年5月18日 (金)

[野菜の学校](2) うすいえんどう

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[野菜の学校]5月は、天候不順から予定していた品が揃わず、急遽テーマを変更して、豆を取りあげました。勉強の中心は“うすいえんどう”。この季節になると「関西の“うすいえんどう”はおいしい、関東で食べている“グリーンピース”とは味が違う」と、野菜の神さま・故江澤正平先生がよくおっしゃっているのを聞いた私にとって、憧れの豆です。

▼和歌山の“うすいえんどう”(品種は“紀州うすい”)
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“うすいえんどう”は和歌山県の特産品です。ただし「出荷先は関西、中京。東京の市場には送っていない」と、講師の佐々木茂明先生。ますます憧れが強くなります。
東京に入らない理由の一つは「さやが美しくないこと」とか。なるほどね、確かに“グリーンピース”ほどグリーンではなく、さやは白っぽいし、実も真グリーンではありません。でも、それは本当に消費者の好みなんだろうか。市場とか流通とか、その辺の方たちが「味よりも見た目」と思っていて、ハナから扱わないと決めているのかもしれないなぁ。

講師の佐々木先生は、今回、私たちのために、“紀州うすい”のルーツ、“うすいえんどう”が生まれた大阪府羽曳野市碓井地区を取材なさったそうです。
以下は先生のスライドから

  • “紀州うすい”のルーツは大阪府羽曳野市の碓井(うすい)地区
  • 近鉄古市駅北部に位置するエリア
  • この地区出身の農業技術者 松倉貢氏が明治35年(1902年)ころ米国から入手したグリーンピースを農事試験場で選別改良して、大粒でうまい種類を見つけ、地元の人に栽培をすすめたのが始まりとされている
  • “うすいえんどう”の名前は栽培の始まった地名から生まれた
  • 地元の人から聞いたが、現在はわずかに栽培している程度
  • その後、和歌山県でさらに改良され「紀州うすい」となり、現在、和歌山県日高地方が生産の主流

羽曳野市を取材したとき、先生は“うすいえんどう”が栽培されているところには出合えなかったそうです。で、碓井地区に立っていた「碓井」と書いた電柱の写真を見せてくださいました。

▼大阪の“うすいえんどう”
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ところが、今回すごかったのは、「現在わずかに栽培している程度」という“うすいえんどう”が、羽曳野市から[野菜の学校]の教室へやってきたことです。野菜の調達係は、果菜里屋の高橋芳江さん。犯人を追い詰める刑事のように追いかけて追いかけて、ついにキャッチ! 高橋さんによると、羽曳野の“うすいえんどう”は「なにわ伝統野菜」のひとつになっているのだそうです。「なにわ伝統野菜」として注目されて、これから栽培農家は増えるのでしょうか。楽しみです。

▼大阪の“うすいえんどう”と和歌山の“紀州うすい”
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右の“うすいえんどう(紀州うすい)”は、左の“うすいえんどう”を大阪から導入して選抜改良したもの。大きさが違います。

▼大阪の“うすいえんどう”
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豆にはポチッと黒い点が見える。これ、改良された“紀州うすい”には出ないといいます。家に帰って、『日本の野菜』(青葉高著・八坂書房)をみてみたら、「明治中期に入ったブラック・アイド・マローファットから碓井という剥実えんどう用品種が生まれる…」という記述を発見! そうか、佐々木先生がおっしゃった「明治35年(1902年)ころ米国から入手したグリーンピース」は、「ブラック・アイド・マローファット」という品種なんだ。「ブラック・アイド」って「黒い目の」ということかしら。もしかして、このポチッが「ブラック・アイド」なのかもしれない?

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