[野菜の学校](3) 萩たまげなす
「萩たまげなす」は1株にできる数が2~4個と少ないから、作るほうは高い値段をつけないと採算がとれない。買うほうはこんなに大きくては使い勝手が悪い。つまり、どちらにとってもそれほどメリットはない、フツーに考えたらね。
その状況を一変させたのは、やっぱりテレビ番組でした。「どっちの料理ショー」にカレー食材として出て勝利。東京では紀ノ国屋で扱っていますが、収穫は7月中旬までなのでもうないかも。
<プロフィール>
- ナス科ナス属
- 原産地はインド東部が有力。世界中で栽培されているが、日本には奈良時代に奈須比(なすび)として伝わった
- 萩たまげなすの産地は萩市、長門市
- 品種は「田屋なす」で、昭和初期から40年代にかけて長門市田屋地区で作られていた。その種が萩市に渡り、作られるようになった。「萩たまげなす」は田屋なすの中で重さが500g以上の大きな果実に与えられた商品名。1株から2~4個しか収穫できない。一番果は約800g、二番果は600~800gにもなる
- 皮が甘く、実はしっかりつまっていて柔らかく、きめ細かな肉質が特徴。甘みが強い
- 「たまげる」とは、方言でびっくりするという意味。「たまげる」ほどおいしくて大きいことから、この名がついた
- 出荷時期は、5月下旬から7月中旬
<歴史・経緯>
- 1930年前後 長門市田屋地域で栽培されていたことが確認されている
- 1965~75年 萩市に種が渡る
- 1975~85年 栽培が廃れ、萩市の農家2戸によって種が保存
- 1999年 県農業試験場が伝統野菜の調査を実施し、生産者から情報提供
- 2000年~ 農業試験場において、栽培試験を開始(平成14年に確立)
- 2003年 関係者が一体となって販路を模索(池袋の東武百貨店にて試食販売)。約8000本を予定価格で販売
- 2006年 「どっちの料理ショー」にて、カレー食材として紹介(シーフードカレーに勝利!)
- 2007年~ 首都圏に向けて本格的な販売を開始
- 2010年 紀ノ國屋全店で取扱
<栄養・効能>
- 大きくて、水分が多いためか、一般栄養成分は普通のなすの方が多い。
- なすは体を冷やす効果があり、夏を乗り切るためによい野菜。皮の色素のナスニンはアントシアンの一種で、抗酸化作用がある。
<基本調理法・料理例>
- 萩たまげなすは果肉が非常にやわらかく、皮もむきやすいので焼きなすなどに適している。
- なすは熱帯原産のため、寒さに弱く冷蔵すると硬くなり、冷風があたるとしなびやすくなる。保存温度が5℃以下になると低温障害をおこす。
- アントシアン色素は100℃以下の加熱では変色や退色しやすいが、130℃以上の高温では色素が安定し、きれいな紫色を呈するため、高温で調理するとよい。
試食はしょうがが効いた煮ものとオーブン焼き。「焼きなす」案も出ましたが、人数分を作るには火と時間が足らず、断念。
▼挽肉との煮もの
- 萩たまげなす 1kg
- 合い挽き肉 300g
- 生姜 大1片
- だし 500cc
- みりん 30cc
- 濃い口醤油 60cc
- サラダ油 大2
- しょうがはみじん切りとせん切り
- 鍋にサラダ油を熱し(1)と合い挽き肉を入れて炒める
- 肉の色が変わったら、だし、醤油、みりん、なすを加え、落としぶたして煮る
- 仕上がりにしょうがのせん切りを盛る
- 萩たまげなす
- オリーブ油
- 塩
- 萩たまげなすは輪切り
- 両面にオリーブ油を塗る
- オーブンで焼き色がつくまで焼いて、塩を振る
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