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2012年7月15日 (日)

[野菜の学校](4) 山口甲高たまねぎ

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[野菜の学校]7月のテーマは山口の伝統野菜です。「山口甲高たまねぎ」は、全国の貯蔵用たまねぎがその血を引いているという系図正しき野菜でござる。ただし教室に届いた「山口甲高たまねぎ」は1パックだったので、展示のみ。

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講師の内藤雅浩さんが、山口県の農業試験場で伝統野菜プロジェクトを推進されていた当時、調査段階では「甲高たまねぎ」は「自家用・加工用などで比較的入手が困難なもの」「今後生産が期待されるもの」に入っていました。その後、試験場で栽培が始まり、現在は学校給食用に作られているそうです。
学校給食は、栽培技術や収量などの点で通常の流通にのせようとすると経済的に成り立たない伝統野菜をバックアップする、とてもいい方法です。行き先が確保されていれば安心して作れるでしょうし、子どもたちに地元の特別な野菜であることを伝えることもできます。
試食できないのは残念でしたが、いいお話を聞きました。

<プロフィール>

  • ネギ科ネギ属。
  • 原産地は中央アジア。ヨーロッパでは古代から食用、薬用として利用されてきた。
  • 江戸時代に長崎に渡来したが、臭いがきついため、当初は広まらなかった。栽培されるようになったのは、120年ほど前で、北海道と大阪で作られるようになった。
  • 山口市秋穂二島地区で誕生した晩生のたまねぎ。山口では北海道から種を買って栽培を始めたがうまくいかず、試行錯誤の末、山口市の中村亀吉氏が15年かけて成功し、「山口丸」と名付けられた。
  • 現在生産されているタマネギと比べ、抽だいしやすく、栽培が難しい。
  • 全国各地で栽培されている多くの貯蔵用品種がこの品種の血を引いている。
  • 近年、山口市で「山口甲高(山口丸)」を復活させようという動きがあり、種苗会社が30年近く保管していた「山口甲高」の種を県農林総合技術センターが譲り受け、栽培を開始させた。

<歴史・経緯>

  • 1920年頃 中村亀吉氏が山口の気候に適する品種の育成に着手
  • 1935年頃 貯蔵性の高い「山口甲高玉葱」を作出
  • 1961年 山口甲高玉葱生産協議会結成、山口県でのタマネギ栽培の主力品種となる
  • 1971年頃 収量性の高い「あざみ」「もみじ」等が県内生産地を席巻する
  • 1980年頃 山口甲高玉葱の栽培が途絶える(種の保存のみ)
  • 2005年 種苗メーカーから種を譲り受け、試験場での採種栽培を開始
  • 2006年~ 山口市で学校給食向けの栽培が開始

<栄養・効能>

  • 一般のたまねぎに比べ、エネルギー、炭水化物が少ないが、その他の成分は若干多い。ビタミンB1は倍以上含んでいる。
  • 糖度が高く、柔らかく、どのような料理にも適する。
  • たまねぎに含まれる硫化アリルは新陳代謝を活発にし、疲労回復や神経の鎮静化、不眠、冷えの改善に効く。ビタミンB1と結合してアリチアミンとなり、ビタミンB1の吸収をよくする働きがある。
  • 血液の凝固を遅らせるため、血液をサラサラにし、血液の脂質を減らすので、糖尿病、高血圧、動脈硬化の予防に有効といわれる。

<基本調理法・料理例>

  • たまねぎは生でサラダ、薬味、ドレッシングにするほか、炒める、揚げる、煮るなど様々に使う。
  • 硫黄化合物のアリルプロピオンが含まれ、包丁などで細胞が壊れると、気化して目や鼻の粘膜を刺激するため涙が出る。よく切れる包丁を使う、水につける、冷蔵庫で冷やす、レンジで加熱してから切るなどすると出にくいといわれる。
  • 以前はたまねぎを炒めると甘くなるのはプロピルメルカプタンが甘み成分に変わるからだといわれていたが、現在ではその説が間違いであることが分かっている。生たまねぎ中には遊離糖が6%程度存在し、加熱すると水分が蒸発して糖濃度が上り、組織の破壊や軟化によって甘みを強く感じるものと推測されている。
  • たまねぎはゆでたりするより炒めたほうが甘みを感じやすくなるが、これはゆでると水分が蒸発せず甘みが凝縮されない、カラメル化せずメラノイジンができにくい、糖類は水溶性なためゆで汁に溶け出してしまうことなどが考えられる。

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