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2012年7月11日 (水)

すかたん

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「なにわ伝統野菜と青果市場が登場する」と教えられ、[野菜の学校]のスタッフが回し読みしている小説です。野菜好きでなくてもとても面白いと思いますが、伝統野菜に興味があればなおのこと。書いたのは、朝井まかてという大阪在住の作家です。[野菜の学校]の修了式で朝井先生にお話をしてもらえるといいなぁ、と話しています。

『すかたん』は、浪華男・清太郎と江戸娘・千里の恋、青果市場と流通の改革、「田辺丸大根」の誕生、という3つのストーリーが重奏しながら進んでいきます。

「田辺丸大根」の誕生は、千里が若冲の絵を見たところから始まり、伊吹山と白上がり京大根の偶然の交雑によって丸い蕪のようなだいこんが誕生し、青果市場で初競りにかけられるまで。

小説の「田辺丸大根」は、現実の田辺大根と同じものかどうか…と詮索したくなりました。
私たちが[野菜の学校]で勉強した「田辺大根」は大阪市東成郡田辺地区の特産の白首だいこん。白あがり京だいこんとねずみだいこんの交雑したもので、後代が土着したのではないかとされています。ということは、交雑相手は小説と同じだ。
小説で誕生した丸大根は「聖護院大根」のような形をしている(上の表紙にあります)。でも、今の田辺大根はちょっと違います。が、後代が土着したといいますから、その間に変容したことも考えられる。最初の田辺大根は丸かったのかもしれないなぁ。

田辺丸大根の初競りの後、清太郎はなにわの青物を並べ立てます。

「大坂にはな、天王寺蕪に難波人参、難波葱、木津瓜に勝間南京がある。なすびに独活、慈姑、胡瓜や蕗、牛蒡も旨い。ほんでな、とうとう田辺村の丸大根まで加わった…」

なるほど。千里ならずとも食いしん坊なら惹かれるね。

伊吹大根
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伊吹山で獲れるねずみだいこんです。小説に出てくる「伊吹山」はたぶんこれでしょう。

▼白上がり京大根?
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「白あがり京だいこん」は「雑煮大根」「祝大根」として売られていると聞きました。京都の錦小路で撮影。買ってみればよかった。

▼田辺大根
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田辺大根炊きが行われた法楽寺境内で撮影。

■すかたん
朝井まかて作
定価:1600円(税別)
講談社刊

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