すかたん
『すかたん』は、浪華男・清太郎と江戸娘・千里の恋、青果市場と流通の改革、「田辺丸大根」の誕生、という3つのストーリーが重奏しながら進んでいきます。
「田辺丸大根」の誕生は、千里が若冲の絵を見たところから始まり、伊吹山と白上がり京大根の偶然の交雑によって丸い蕪のようなだいこんが誕生し、青果市場で初競りにかけられるまで。
小説の「田辺丸大根」は、現実の田辺大根と同じものかどうか…と詮索したくなりました。
私たちが[野菜の学校]で勉強した「田辺大根」は大阪市東成郡田辺地区の特産の白首だいこん。白あがり京だいこんとねずみだいこんの交雑したもので、後代が土着したのではないかとされています。ということは、交雑相手は小説と同じだ。
小説で誕生した丸大根は「聖護院大根」のような形をしている(上の表紙にあります)。でも、今の田辺大根はちょっと違います。が、後代が土着したといいますから、その間に変容したことも考えられる。最初の田辺大根は丸かったのかもしれないなぁ。
田辺丸大根の初競りの後、清太郎はなにわの青物を並べ立てます。
「大坂にはな、天王寺蕪に難波人参、難波葱、木津瓜に勝間南京がある。なすびに独活、慈姑、胡瓜や蕗、牛蒡も旨い。ほんでな、とうとう田辺村の丸大根まで加わった…」
なるほど。千里ならずとも食いしん坊なら惹かれるね。
▼伊吹大根
伊吹山で獲れるねずみだいこんです。小説に出てくる「伊吹山」はたぶんこれでしょう。
▼白上がり京大根?
「白あがり京だいこん」は「雑煮大根」「祝大根」として売られていると聞きました。京都の錦小路で撮影。買ってみればよかった。
■すかたん
朝井まかて作
定価:1600円(税別)
講談社刊
| 固定リンク
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- パプリカペースト「アイバル」(2020.08.05)
- ティラミスチョコレート(2020.07.21)
「食」カテゴリの記事
- はじめまして牧野野菜です。(2021.08.02)
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- パプリカペースト「アイバル」(2020.08.05)
「野菜の学校」カテゴリの記事
- 伊吹大根のぬか漬け(2020.06.25)
- 日本の野菜(2020.01.06)
- てるぬまかついち商店の干しいも(2019.06.13)
- 宴の野菜度 銀座「長崎しっぽく浜勝」(2019.02.20)
- 「牧野野菜」の試食(2018.04.15)
「本」カテゴリの記事
- 誕生当時の天丼を再現!(2019.10.06)
- BIZARRE EDIBLE PLANTS--Unknown Delicacies--(2019.07.17)
- 八百善江戸東京ツアー 向島編・続(2019.02.10)
- 大江戸味ごよみ2019(2018.12.06)
- おいしい彩り野菜のつくりかた-7色で選ぶ128種(2018.06.10)
「伝統野菜・地方野菜」カテゴリの記事
- はじめまして牧野野菜です。(2021.08.02)
- こうち食べる通信08(2021.03.15)
- 真室川伝承野菜図鑑~雪国を耕す(2021.02.04)
- SEED VOL.18 (2021.01.28)
- 伊吹大根の「ぜいたく煮」(2020.06.30)
「野菜(根菜類)」カテゴリの記事
- 伊吹大根のぬか漬け(2020.06.25)
- 大江戸味ごよみ 10月19日(土)べったら市(2019.10.19)
- ~日本食文化のルーツをさぐる~ 在来ごぼうフェスタ(2019.10.07)
- 大江戸味ごよみ 10月1日(火)練馬大根と綱吉と脚気(2019.10.01)
- 福島秀史さんの畑 滝野川ごぼうのタネ採り(2019.08.20)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント