野菜の学校(2) 下仁田ねぎ
「下仁田ねぎ」には、「植え替えしている」ものと「植え替えしていない」ものがあるということを初めて知りました。植え替えするのが昔からの栽培方法ですが、手間がかかるということから、植え替えせずに育てる方法が開発されたそうです。
以下は配付資料から
- 非分けつ系の一本ねぎで、軟白部が15~20㎝程度、太いものでは直径5~6cmにもなり、太くて短いのが特徴。
- 名前の由来通り群馬県下仁田町を中心に甘楽富岡地区(富岡市、下仁田町、南牧村、甘楽町)で栽培。11月から2月上旬が収穫時期。気温が下がり、霜が降りる 12 月ごろからが甘みの増す最盛期。
- 最も古い文書は、江戸時代の文化2年(1805年)11月 2日の「葱200本至急送れ、運送代はいくらかかってもよい」との江戸幕府城内の旗本から地元名主へあてた手紙や、地元高崎藩の殿様が諸国大名へ年末年始の贈答品とした記録などがある。このため、別名「殿様ねぎ」とも呼ばれている。
- 明治5年、国内初となる官営富岡製糸場が創設されると、生糸商人が歳暮や土産品として下仁田ネギを利用したことから、養蚕農家を中心に栽培された。
- 第2次世界大戦中から戦後の食糧難時代には本来の姿がやや失われたが、1950年前後から改良試験に取り組み、1980年頃になると地域の特産物として、市場出荷が始まった。
- 下仁田ねぎは他の地域ではおいしく作れない。昭和初期に県内の前橋、長野県など他県、中国でも栽培されたが、産地として残っていない。「下仁田ねぎは下仁田におけ」という。
- 2006年に「下仁田葱の会」が発足。昔ながらの「植え替え」る栽培方法にこだわり、「本場物」といわれる高品質生産に取り組んでいる。
- 下仁田ねぎには「ダルマ系」「西野牧系」「利根太系」があり、現在の主流は「ダルマ系」と「西野牧系」の長所を取り入れた「中ダルマ系」。
ねぎの栽培に「植え替え」をするという話はよく聞きます。
なぜ植え替えが必要なのか、下仁田葱産直センターのウェブによると
- 病気にかかりにくくすめため
「植え替えをするとなぜ病気にかかりにくくなるのでしょう」と、千葉の野菜名人、小川次郎さんに聞きました。「いじめると丈夫になる」とのこと。なるほど。それは下記、2にも共通します。 - 根を切ることでねぎをきたえるため
ねぎをいじめてきたえ、より生命力豊かな=立派な下仁田ネギに育てあげます。そこで、植え替えるのはちゃんと成長しているねぎだけ。病気にかかっているもの、姿形が貧弱なもの、曲がっているものなどは、破棄されてしまいます。 - よい収穫のため
ねぎとねぎのあいだに十分な間隔を空けて植え替え、畑の栄養を十分に行き渡らせてのびのびと大きく成長させます。植え替えをしないと収穫が減るそうです。
下仁田ねぎの「植え替える」栽培は次のように進行。収穫まで15か月前後!かかります。
- 10月中旬~11月上旬 播種
- 翌年4月~5月 仮植
- 7月~8月 定植(植え替え)
- 11月~翌1月 収穫
このように手間をかける栽培法と、植え替えをしない方法では、その結果にどんな違いが出るのか…。「ぜひ食べくらべてほしい」と田村さんのご要望をいただき、今回の食べくらべの焦点でした。
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コメント
初めまして。
群馬で下仁田ネギを栽培しています。
情報の先入観なしに味の違い・食感の違いは分かりましたでしょうか?
植え替えしている・していない。厳密には仮植している・していないの両方の栽培をしていますが味や食感の違いを確認できたことはありません。
食に精通している方たちはどのように感じられたのか感想を聞きたいです。
投稿: | 2013年12月26日 (木) 22時55分
コメントありがとうございます。
植え替えの有無で「違いがわかる」という人が多かったのですが、「わからない」という人もいました。
今回は、あらかじめ植え替えの有無を知らせていますが、ブラインドにしたら「わからない」人はもっと多くなると思います。
遅くなりましたが、12月23日(月)付のブログにアップしましたので、よかったらご覧ください。
投稿: クサマヒサコ | 2013年12月27日 (金) 12時19分