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2013年12月15日 (日)

野菜の学校(7) 国分(こくぶ)にんじん

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60年くらい前は国内生産の約8割を占めていたという国分にんじん。葉先から根の先まで1mもあり、短根種の登場で絶滅の危機になったと聞いて、東洋種かと思っていたら、大正時代に西洋種を改良したものだそうです。▲写真、左は自家採種の「国分にんじん」、右は固定種の「国分にんじん」

 
▼清水稔さんが自家採種している「国分にんじん」
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▼カネコ種苗から出ている固定種の「国分にんじん」
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以下は配付資料から

<プロフィール>
  • セリ科ニンジン属。アフガニスタン周辺の原産。
  • 16~17世紀に中国から伝来した細長い東洋種と、江戸時代末期にヨーロッパからアメリカ経由で長崎へ渡ってきた太く短い西洋種の2種類がある。
[国分にんじん]
  • 高崎市国府地区で11月下旬から2月にかけて収穫。根の長さが70㎝以上と細長く、鮮やかなツヤのあるオレンジ色。身がしまり、コクのある甘さと香りがにんじん本来の味とされる。
  • 旧国府村は、古くから養蚕が盛んな地域、1920年に始まった恐慌による打撃は深刻だった。これを救う作物として国府村西国分の飯野鉄太郎が着目したのが、にんじん。大正の初め、滝野川の種苗商から買った西洋系長人参「仏国大長」をもとに改良を重ね、「国分にんじん」を作り上げた。昭和2(1927)年、同志13人で採種組合を結成、組織的に採種栽培を始めた。
  • 昭和30年代前半当時の国府村では、出荷用、採種用が栽培され、採種用の畑は白い花一色になり、春の風物詩のひとつでもあった。最盛期には1千石を超える種を採種、村での値段が全国に流通するにんじんの値段を動かした。「人参音頭」が生まれたのもこの頃。
  • 一世を風靡した国分にんじんは、昭和30年代後半から短根にんじんへと消費が変わったため、作付は大きく減少した。
  • 近年(2009年?)「このままでは絶えてしまう」と、有志が栽培に取り組み、人数、作付も増え、加工品も作られるようになった。
  • 「人参音頭」の作者の子孫、清水稔さんは、いまも自家採種を続けている。
  • 2004年、(社)農山漁村文化協会が農林水産省補助事業として行った「故郷に残したい食材」(秋冬)115品のひとつに選ばれた
<栄養・機能性>
  • β-カロテン当量は9100μg/100gで緑黄色野菜の代表。他にカリウム、ビタミンB群を含む。
  • 赤橙色が濃いものほどカロテノイド色素が多い。カロテンの名は英語のcarrotに由来している。特に皮の近くに多く、強い抗酸化作用があるため、がん予防や老化防止に役立つ。
  • カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わるため、プロビタミンAという。ビタミンAは光の明暗を感じたり、成長、発育の促進、皮膚や粘膜を正常に保つなどのはたらきがある。
<調理>
  • ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、油を使って炒めたり、ドレッシングやグラッセなど油といっしょにとると吸収がよくなる。
  • ビタミンC分解酵素のアスコルビナーゼを含み、にんじん自体やその他の野菜のビタミンCを分解する。酵素は加熱や酸で働きが抑えられるため、栄養面から考えると、煮る、ゆでる、炒めるなどの加熱調理や、ドレッシング、酢の物など酢を使った料理がよい。
  • にんじんは和食材料には少ない赤橙色で、料理に彩りを添える食材。色が目立つので、他の材料と混ぜるときは量を少なくすると、バランスがよい。にんじんは、野菜の中でも繊維が緻密で切りにくい野菜のひとつ。よく切れる包丁で滑らせるようにして切ると、きれいなせん切りができる。
  • スーパーなどで売られるにんじんのほとんどは、皮がむかれている状態で出荷されている。家庭ではよく洗って皮ごと使うか、薄くむいて使うとよい。一般に、皮つきのまま加熱すると、時間がたつにつれて皮が黒くなり、見た目が悪くなることがある。
  • 芯の部分はかたく、味も落ちる。野菜スティックなどは、芯より周囲のほうがおいしい。
  • にんじんの葉は繊維が強い。中心部の柔らかい葉は生やおひたしなどでも食べられるが、天ぷら、きんぴらなどにすると食べやすい。
▼国分にんじんの加工品。左はピクルス、右はドレッシング。
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▼「国分にんじん」の葉のてんぷら
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▼「サラダ」。国府白菜といっしょに。
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