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2013年12月 3日 (火)

大きな大きな柿「太天」

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果樹研究所の「フルーツセミナー」で、柿「太天」が紹介されました。「太秋」の子どもです。すごくビッグ。500gでフツー、大きいものは700gにもなるといいます。手に持って撮影したのが上の写真です。700gはないかもしれないけれど、500gはゆうに超えている感じです。

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不完全甘柿「黒熊」×完全甘柿「太秋」で生まれたのが不完全渋柿「太天」。フルーツセミナーは、渋柿と甘柿の違いについての解説から始まり、なぜ渋柿を開発したかという話、そして太天の紹介という順序で進みました。
■甘柿と渋柿
  • 柿は果実内にタンニンを蓄積する特異的な果樹で、完全甘柿とそれ以外の柿の違いは、タンニン細胞の大きさの差です。完全甘柿は7月くらいになると、タンニン細胞の成長が止まり、それ以上大きくならないので、渋く感じないわけ。
  • 不完全甘柿~完全渋柿の違い、つまり渋さの度合いは、種子から出る、タンニンを不溶化させる物質が多いか少ないかによります。
 
■甘渋性によるカキの分類
  • 完全甘柿……種子の有無にかかわらず樹上で渋が抜ける(富有、次郎、太秋)
  • 不完全甘柿……種子が多いと褐斑が果肉全面に生じ渋が抜ける(西村早生、禅寺丸、筆柿)
  • 不完全渋ガキ……種子があっても褐斑がわずかにしか生じず渋ガキになる(平核無、刀根早生、甲州百目)
  • 完全渋ガキ……種子があっても果肉の色が変わらず渋ガキになる(四つ溝、西条)
■柿の育種
 
新しい柿を開発するとき、その目標はすぐれた完全甘柿です。それには完全甘柿どうしを交配するのが低コスト。ただ、似たものどうしなので、果実の重さや、木の生育に近親交配の悪影響が出ることがわかってきました。そこで、1990年代以降、これまであまり交配に用いられなかった品種や渋柿を使った新品種開発が始められ、そのなかから「太天」が生まれ、さらにその子どもたちの中に完全甘柿が出現しています。
 
■「太天」のプロフィール
  • 「太天」は不完全甘柿「黒熊」に完全甘柿「太秋」を交雑して育成した渋柿。
  • 「太天」という名前は、天から授かった大きく素晴らしい柿、という意味。
  • 果実の大きさは「富有」の約1.5倍。平均490gで大きいものは700gにもなる。
  • 果肉はやわらかく、ジューシーで食味がすぐれている。
  • サクサクとした「太秋」に近い食感をもつ。
  • 収量性が高い。
  • CTSD(炭酸ガスを用いた高濃度短時間処理)により脱渋し、日持ちがよい。
▼試食した「太秋」
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産地は愛媛県西条市周桑地区、東予園芸農業協同組合。CTSDによる脱渋。「太秋」に似たサクサクした食感、というお話でしたが、「太秋」よりもずっとフツーの柿に近い感じがしました。

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