野菜の学校(9) 北海道野菜 じゃがいも
<プロフィール>
- ナス科ナス属
- 原産地はアンデス山地付近で、インカ帝国の重要な食物だった。16世紀に観賞用としてヨーロッパに持ち込まれ、次第に食用になった。日本では、明治以降に本格的に栽培されるようになった。
- 家庭、レストランなどの食用、ポテトチップスなどへの加工用、片栗粉などの原料となるデンプン原料用の3つに大別される。食用はホクホクした粉質系と、煮くずれしにくい粘質系がある。
[きたあかり]
- 北海道の農業試験場で1975年にジャガイモシストセンチュウに抵抗力のある品種として開発された。「男爵イモ」と「ニツカ」を交配し、1988年に品種登録。
- 名前の由来は、北海道の北の大地である育成地で、じゃがいもを線虫から守って、希望と明るさを見出そうというところからきている。
- 皮の色や形は「男爵」とよく似ていて、ゴツゴツで扁平系、目の部分にほんのりと赤みがあり、芽になると赤紫になるので見分けがつく。皮肌がざらついているのは完熟状態を示す。
- ホクホク系で甘みが強く、ビタミンCも多い。クリジャガイモとも呼ばれる。
- 蒸かしイモ、レンジポテト、サラダ、コロッケ向き。煮物には向かない。
[インカのめざめ]
- 「インカのめざめ」は北海道の農業試験場において、1988年に、南米アンデス地域の在来種とアメリカ品種との交配から生まれた「W822229-5」と、国際ポテトセンターから導入された黄肉種の「P10173-5」を交配させて生まれた。実生から選抜育成されたじゃがいもで、2001年登録された。
- 小さいため、大型機械で取りこぼしが多く、収量が少なく、休眠期間が短いので長期保存に向かないなど、大規模栽培に適さない品種。
- 1個の重さは小さく、約50g。形は卵形、皮は黄褐色で滑らかで、目は浅くて少ない。果肉はきれいな黄色。
- 肉質はやや粘質できめが細かく、舌ざわりがとても良い。皮をむいた後の変色がほとんどなく、加熱した後もきれいな濃黄色が残る。黄肉の色はカロテノイド色素で、「きたあかり」の約7倍含んでいる。
- スエーデンではアーモンドポテト、北米ではナッティーポテトと呼ばれている。
- デンプン含量が高く(16%以上)貯蔵後は高糖度になる。
- 利用特性は、スープから煮物まで幅広い。
<栄養・効能>
- エネルギー76kcal、たんぱく質1.6g、炭水化物17.6g、カリウム410mg、ビタミンB10.09mg、C 35mg、食物繊維1.3g/100g (食品成分表)
- じゃがいものビタミンCはデンプン質におおわれているため、加熱しても損失しにくい。(水煮後のビタミンCは21mg)
- 緑色の皮や芽には有毒のソラニンやチャコニンなどが含まれる。ソラニン結晶の分解点は285℃のため、通常の加熱では分解されない。
<基本調理法・料理例>
- 淡白な味のため、ゆでる、蒸す、煮る、焼く、揚げるなどのいろいろな料理、調理法に活用できる。
- 生ですりおろすし、焼くともちもち感のあるお焼き風に、チューやカレーに加えるととろみがつく。
- 「キタアカリ」は甘み、香りもよいので、シンプルなじゃがバタやフライ、粉ふきいも、ポテトサラダなどに向く。煮ものは煮くずれしやすい。
- 「インカのめざめ」は煮くずれしにくいので、シチューやカレー、肉じゃがなどの煮ものに向き、炒めものにしてもくずれにくい。黄色を生かしてサラダ、揚げもの、アイスクリームやケーキなどのお菓子の材料にもなる。
◇じゃがいもの料理特性
- とうや、さやか:肉質なめらか、煮崩れ少ないので肉じゃが、シャキシャキサラダ、煮物
- こなふぶき、べにあかり:デンプン含量が極めて高く(20%)、パンケーキ、クレープ、お好み焼きなど
- ほっかいこがね:低糖度フライ専用種、煮物
- マチルダ:疫病抵抗性種で無農薬栽培可能、カットポテトなど加工向け、煮物に合う
- ゆきらしゃ:極粉質、肉質やや粗く、コロッケやマッシュドポテト向き
試食は、スープとじゃがバター
- たまねぎ(札幌黄)300g
- じゃがいも(きたあかり)800g
- トマト中4個
- 万能ねぎ
- チキンスープ2400cc
- 紹興酒 120cc
- しょうゆ 少々
- コショウ適量
- 片栗粉
- じゃがいも、トマト、たまねぎを5mm角に切る
- たまねぎを軽く炒め、スープを加えて、煮立ったら調味する
- トマトを加え、10分くらい煮て、アクを取り、片栗粉でとろみをつける

- ジャガイモは洗い、食べやすい大ききさ切る。
- オーブンで焼き、バターを添える
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