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2014年8月 5日 (火)

野菜の学校(3) 折戸なす(続き)

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「一富士、二鷹、三茄子(なすび)」は初夢に見ると縁起のいいもの、とされており、その由来には諸説ありますが、[野菜の学校]で稲垣栄洋先生が話してくださった説は次のふたつ。
  1. 徳川家康の好物を並べた。「富士」はお山の富士、「鷹」は鷹狩りの鷹、そしてなす。
  2. 高いものを並べた。富士山は日本一高い、「鷹」は静岡にある高い山「愛鷹山」から、「なすび」はかつて賄賂に使われたという話があるほど高価なもので、1個1両もしたという。
「家康好み」にせよ「高いもの」にせよ、初夢に見たいなすびは「折戸なす」。よくある「一富士、二鷹、三茄子」を描いたイラストを見ると、長卵形の「これがなす!」という形をしていますが、ほんとうは丸なすだった、というわけです。
 
▼折戸なす
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右は家康に献上されたサイズ、左は現在の規格サイズ
 
徳川家康に好物の「折戸なす」を献上したときに使った、という籠が残っているそうです。一方、その籠に「折戸なす」をいくつ入れたという記録があります。籠の大きさと中に入っていたなすの数がわかれば、献上された「折戸なす」の大きさを推定できます。それはとても小さくて、いまの「折戸なす」の何分の一か…。
 
ちょうどその大きさの「折戸なす」を[野菜の学校]で展示しました。それは、講師の稲垣先生が「門外不出のものがどうしてここにあるの?!」と驚かれるくらい貴重なものでした。
 
家康公好みのサイズの「折戸なす」は、[野菜の学校]に参加してくださっている、静岡在住の遠山由美さんのご尽力でやってきました。ところが、現在、出荷できる「折戸なす」のサイズは決まっており、展示した「折戸なす」は外に出てはいけない小なすだったのです。
 
▼家康に献上されたサイズの「折戸なす」
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規格サイズを厳格に守ることは、「折戸なす」ブランドを守り育てていくことの基本です。それに、小さいサイズで同じ重量を確保するには、規格サイズの何倍もの数の収穫量が必要でしょう。「門外不出」は、あたりまえで、当然至極で、言うまでもないこと。
 
でも、「小さな折戸なす」には物語があります。規格サイズの大きさは、必ずしも一般の家庭で使いやすいとはかぎりません。家康公好みの特別な「折戸なす」は、消費者からみると、使いやすい魅力的な商品になる可能性があるのではないか…。手に入れる難しさに戸惑いながら、遠山さんと私たちはそんな話をしました。
 

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