野菜の学校(8) イワテヤマナシ
- イワテヤマナシは、「ミチノクナシ」とも呼ばれ、岩手県を中心とした北上山系に自生。
- 北上山系に1200本を超えるイワテヤマナシの木の存在が確認されているが、遺伝子解析の結果、大半はイワテヤマナシとニホンナシとの雑種であることが判明した。純粋なイワテヤマナシは個体数や生育地が限られており、その保全が急務である。
- イワテヤマナシは2007年に環境省絶滅危惧種IA類に指定された。
- イワテヤマナシとニホンナシとの雑種は、生食には向かないものから豊かな香りや強い酸味をもつもの、加工に適したものまで多様性に富んでいる。
- かつてイワテヤマナシは飢饉の際の救荒作物であった。地方名「ケカズナシ」の「ケカズ」は岩手県の方言で飢饉を意味し、冷害の年も実をつけるイワテヤマナシを保存食として飢えをしのいだことを示すものと考えられる。今も庭にイワテヤマナシが残っている農家があり、命をつなぐ果実として代々受け継がれてきたのであろう。
- 戦後、米の品種改良が進んで冷害に強くなり、飢饉が起きることはなくなった。食糧事情は急速に改善、また甘く大きな実をつける果物が栽培されるようになり、イワテヤマナシは減少の一途をたどっている。
- イワテヤマナシは遺伝的多様性に富み、新たな利用可能性を秘めた遺伝資源である。
- 現在約700個体のイワテヤマナシが神戸大学で系統保存されている。
■イワテヤマナシ研究会
- 2012年、神戸大学大学院農学研究科附属食資源教育研究センターの片山寛則先生を中心にイワテヤマナシ研究会が設立された
- 研究会の目的は多様性に富んだ雑種個体群を「イワテヤマナシ」と総称し、遺伝資源として再び蘇らせて、新たな利用方法を開発し、地域おこしへの活用を支援するとともに、次の世代に引き継ぐこと
- 参加者は県内外の研究者や農業、食品加工業関係者など
- 今年9月に行われた第5回イワテヤマナシ研究会では、九戸村でのイワテヤマナシ見本園とイワテヤマナシ生産組合の取り組みを見学した
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