野菜の学校(3) なかすじしゅんぎく
<プロフィール>
- キク科キク属。原産地は地中海沿岸。室町時代に中国から渡来した。関西では菊菜と呼ばれるが、一般的には春菊と呼ばれることが多く、春に花が咲く。江戸時代の「和漢三才図会」にも、「春に花を開き、菊に似るが故」と記されており、昔から「菊に似た食べられる葉菜」として認識されていた。
- 春菊が食用とされるのはアジア地域のみで、ヨーロッパでは観賞用に栽培されている。
- 江戸時代から「不断菊」、「無尽草」と呼ばれ、種を播けば1年中食べることができる。根ごと抜きとる方法と、株元から刈り取る方法があり、後者では残った株からさらに数回収穫することがでる。病害なども少なく、比較的栽培しやすい野菜。
- 春菊の種類には、小葉、中葉、大葉の3種類がある。
- 葉が大きい「大葉」はギザギザ(欠刻)が少なく、厚みがあり、香りがやや弱い。主に中国、九州地方で栽培。葉の小さい「小葉」はギザギザが深く、香りが強いが収量が少なく、流通量が少ない。
- 日本での栽培の中心は中葉種で、主に東日本で栽培され、主枝から伸びる茎葉を順次収穫する株立型と、関西で栽培され、細かく枝分かれして株ごと根元から抜き取る株張型の菊菜に分けられる。
[於多福春菊]
- 大葉種で葉色が濃く、切れ葉がほとんどない。
- 広島市中心に栽培され、安佐南区中筋地区が主な産地。秋まき8月下旬~10月上旬、春まき2月下旬~5月上旬。
- 秋~春にかけての春菊は、葉が厚くて柔らかく、エグミが少ない
<栄養・効能>
- エネルギー22kcal、カリウム460mg、カルシウム120mg、β-カロテン4500μg、ビタミンE1.7mg/100g
- 香り成分であるαピネンやベンズアルデヒドは、自律神経に作用して胃腸の働きを促進し、消化吸収を良くしたり、痰を止め、咳をしずめる作用があるともいわれている。
- 漢方では、のぼせをしずめて回復力や抵抗力を高める「食べるかぜ薬」として珍重されている。
<基本調理法・料理例>
- 鍋の具のほか、ゆでて和え物、汁の実、天ぷらの他、生食にもむく。
- 手早く調理すると香りや味を損ないにくい。葉と茎の硬さが大きく違う場合は、葉を摘み取って別にゆでるか、茎を縦半分に切ってからゆでるとよい。
- 生食する場合は、新鮮で柔らかい葉のみを摘むとおいしく食べられる。ごまやコチュジャンのようなアクセントの強いドレッシングやタレにもよく合う。
街の中にしゅんぎくのハウスが建っています。いや、逆だ。しゅんぎくの産地にビルが建ち、街になった、というべきでした。
もとは河川敷とうかがいました。砂地に育つやわらかいしゅんぎくです。
上の写真は同じ時に撮影した3つのハウス。長期間、続けて出荷できるように、収穫時期をずらして栽培しています。
▼試食はサラダとみそ汁
生で食べるのにぴったりのしゅんぎくです。香りは中葉ほど強くありませんし、やわらかいから口の中でモサモサしない。
四国出身のスタッフが「しゅんぎくはフツーにみそ汁に入れる」といいます。関東出身の私も、あれば入れないことはない。が、そもそもみそ汁をしょっちゅう作らないかも。
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