野菜の学校(10) 食べくらべ
調理方法は、生と和風煮。三浦だいこんは、生はもちろんですが、煮ると出し汁をたっぷり吸い、ジューシーながら食感はしっかりしていて、さすがすぐれものです。青首もよかった。ふだん食べ慣れているというだけでなく、だいこんとして進化している感じがしました。
食べくらべの試料として何を選ぶか、それをいかに揃えるか。今回はあらためてそのむずしさを感じました。
当初、「三浦だいこん」と比べる相手に想定していたのは、「方領(ほうりょう)だいこん」と「青首」。
「方領」は、日本のだいこんのルーツとされる品種です。「青首」のもとになった「宮重」も、三浦だいこんのもととされる「練馬」も、「方領」から出ているといいますから、食べくらべにはぜひご登場願いたい。でも、入手できるだろうか。
ネット情報を集めてみました。「方領」とは愛知県あま市甚目寺町というところにある地名です。この地が原産なので、あま市のウェブサイトなどに充実した情報が掲載されていました。これなら、もしかすると…と期待は高まったのですが、あちこちへ電話してわかったことは、昨年までは栽培と普及に農協が関与していた、ということ。現在は、個人的に栽培している人はいるだろうが、把握できていない、従って紹介できない、という、非常に残念な結果でした。
「方領」って、とても大事なだいこんです(と思うのは私たちだけかしら?)。タネは種苗会社から販売されていますから、なくなったわけではありませんけれど、原産地での採種と栽培は、やはりむずかしいのでしょうか。
やむを得ず、講師の北浦健生先生にもご相談し、江戸東京野菜の一つ「大蔵だいこん」が可能ならそれでもよい、ということになりました。そこで、なんとしてでも、と調達したのですが、やってきたのは、最盛期を過ぎ、かわいそうな状態の「大蔵」でした。
食べくらべをする際は、よい状態どうしでないと、つくってくれる人にも、野菜にも失礼です。しかし、伝統野菜がよい状態の期間はそう長くないことが多く、今回はほんとうに申しわけないことをしたと思っています。
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