八百屋塾 新潟のなす①「泉州水なす」の子孫たち
7月の八百屋塾のテーマはなす。お話は新潟市農林水産部農業活性化研究センターの小田切文朗さんです。
◇新潟県(2012年)は、なすの作付面積日本一、収穫量8位、販売量18位。その理由は新潟県人がなすをよく食べるから、と聞いていましたが、小田切先生は「そうではない」とおっしゃいます。小さいサイズで収穫すること、降雪のため栽培期間が短いので収量が上がらないからとのことでした。でも、収穫量8位、販売量18位というのは、おうちでよく食べるからじゃないかしら。
◇2014年の家計調査をみてみました。1年平均1人16.8個(1個90g換算)食べていて、全国ランキング3位。ちなみに1位は京都(19.7個)、2位秋田(19.2個)、全国平均12.1個。やっぱりたくさん食べてるんだ。
◇栽培されている品種は「千両2号」を中心とする長卵形~中長形が最も多く、次いで丸なす形。伝統品種・地方品種もたくさんあって、現在14品種を数えるそうです。
◇その中もさらに栽培地域や、栽培者によって分かれています。たとえば大阪の「泉州なす」が新潟に導入された「十全なす」。お話に出てきたのは、
- 白十全
- 黒十全
- 新潟黒十全
八百屋塾に届いた「十全なす」は、
- 種権種苗の白十全
- マルト直治郎の黒十全
- 茨曽根系黒十全
- 小国の黒十全
◇私が区別できるのは、「白十全」と「黒十全」くらいです。なにしろ「白」はヘタ下が薄緑色、「黒」はヘタ下も紫色ですから。
゛ゅく◇新潟にやってきた「泉州なす」について、整理しました。いままでやや混乱気味だったことがすっきり。
- 「白十全」と「黒十全」では「白十全」のほうが古く、「本十全」とも呼ばれる。ルーツは大阪の「泉州なす」で、1928年に十全村(現五泉市)に導入され、さらに白根市(現南区)臼井に入った。長めの巾着型で、高温期には色が薄くなり、ヘタ下は薄緑色。
- 「黒十全」は、三条市の江原種苗店が長岡の「梨なす」を「黒十全」と称して、下越地方などに普及させたもの。(「梨なす」もルーツは「泉州なす」だからね。そう遠くはない)。長めの球形から卵形の巾着(とおっしゃったけれど、「白十全」によく似ています)。果皮の色は黒く、ヘタ下は紫色。現在は北越農事による交配種「新潟黒十全」が普及している。
- 「梨なす」は、大阪の「泉州なす」が長岡に入ってつけられた名称。当初は「白十全」タイプだったが、1944年以降、果皮が黒くヘタ下が紫色に着色するタイプが普及。「十全」より、ややかたい。
- 「白十全」「黒十全」「梨なす」とも、浅漬け、加熱調理にむく
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