八百屋塾 新潟のなす③「鉛筆なす」ほか
先端がとがっていることから「鉛筆なす」と呼ぶ。ルーツは宮崎市の「佐土原なす」とされ、夏場に果皮色が浅くなるのは、「佐土原なす」と同じ。
白根市(現新潟市南区)笠巻から広まったとされるが、一説には塩俵地区に入ったので「塩俵なす」と呼ばれたともいう。小さいうちに収穫して浅漬け、大きくして焼きなすに。
1961年に、豊栄市笹山(現新潟市北区)の農家、川崎敏夫氏が白根市(現南区)の「鉛筆なす」を導入して栽培が始まったとされる。特性は「鉛筆なす」とほぼ同じ。大きいもので400g、30cm(平均300g)と大きくして収穫し、焼きなす用に。葉陰や高温に合うと色がのらず、果皮が赤紫になるが、味は落ちない。
▼久保 ※写真なし
豊浦町(現新発田市)久保で栽培されていた。「鉛筆なす」や「やきなす」のように、果実の先端がとがっている。果形はやや円筒形で、長なすに近い形をしているとされるが、新潟市農業活性化研究センターでの栽培特性調査では「佐土原なす」系。
果実は卵型からラクビーボール型で先端がやや尖る。へた下は着色しない。上越市で70~80年前から作られていた品種で、新潟の「鉛筆なす」とは、果形、葉型、花の色が異なっている。
1907~1912(明治40~45)年に小川文四郎氏が田上村保明新田からタネを譲り受け、長岡市中島地区で栽培。もとは「亀田巾着」ともいう。扁平の巾着形、晩生。果皮はかたい。果肉はよくしまり、重い。
▼魚沼巾着 ※写真なし
1897(明治30)年に、六日町下原新田の栗田忠七氏が導入した和歌山の早生なすと、在来の巾着なすの交雑・固定でできた。一時は日本の代表的な丸なすになったこともある。
巻町(現西蒲区)で戦前から栽培。2007(平成19)年に一般公募して名前を決めた。純白の長卵形。甘みがあり、加熱するとおいしく、油との相性がよい。日にちがたった果実は皮が固い。収量が少なく、草勢が弱く、葉茎・へたにとげが多いなど欠点も多い。
▼緑なす ※写真なし
柏崎の伝統野菜。アントシアニンの発生がないので、葉、茎、果実も緑色。来歴は不明だが、戦前より栽培されていたとされる。長めの丸なすで、皮が柔らかく、アクが少なくて甘みがあり、肉質がよい。
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