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2015年9月 8日 (火)

野菜の学校(3) 三宝甘長とうがらし

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講座「日本の伝統野菜・地方野菜」9月は、鳥取県がテーマ、メインの野菜は「三宝甘長とうがらし」です。お話をしてくださったのは、かつて消滅の危機にひんした「三宝甘長とうがらし」の復活プロジェクトに取り組んだ小林弘昌先生。

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お話をまとめてみました。
 
■プロフィール
  • 三宝甘長とうがらしは、昭和初期に鳥取市吉岡町の篤農家が育成しはじめ、「三宝大甘長蕃胡椒」と命名し、栽培されてきた。
  • 来歴は東南アジア近辺から鳥取地方に渡り、選別育種されたものとされる。
  • 鳥取県東部地域(因幡地方)でのみ栽培される、地域オリジナルの貴重な伝統野菜。
■特長
  • 他の甘長とうがらしと違って、辛い実がまったくならない。食味は良好。
  • 鳥取県園芸試験場が2014年にDNAを解析したところ、三宝唐辛子は遺伝的に辛みがないこと、「万願寺とうがらし」「甘とう美人」には辛い実がつく可能性があることがわかった。 
■復活プロジェクト発足の経緯
  • 1990年頃までは盛んに栽培・出荷されていたが、2009年には営利栽培は2009年に4戸、3aと栽培面積激減。ほとんどが家庭菜園で栽培し、直売所で売るか、家庭消費になった。農家がそれぞれで栽培すると、同じ時期にいっせいに収穫されることになり、販売は短期間、安価で出回ることになる。
  • 地域でも認知度が低く、一般的に「甘長」と呼ばれ、「三宝」という名前はあまり知られていなかった。
  • 復活プロジェクトの始まる2、3年前から、実が黒くなるという声が多く寄せられるようになり、本来の形質に異種の形質が遺伝的に混入した疑いが強まった。
■復活プロジェクトのミッションと成果
  • 2010年、復活プロジェクトスタート。メンバーは、八頭(やず)・鳥取両農業改良普及所、JA 鳥取いなば、農業試験場。
  • ミッションは4つ。
    1. 三宝種子の確保
    2. 新規生産者の確保
    3. 露地栽培の推進
    4. 共同販売体制の確立
  • 種子の確保は、市販のタネと自家採種を行っている農家のタネを栽培比較から始まった。市販のタネからは黒い実がついたが、農家のタネからは問題のあるものは全然出なかった。そこで、この農家のタネを採種用原種にして、2010年には約2万粒、2011年には約4万粒のタネを採り、JA生産部に提供。
  • これまで個別で出荷していたのを共同販売体制にし、段ボールにPRシールをつけて出荷。名称を「甘長」から「三宝」に統一した。
  • プロジェクトの成果は次の通り
    • 生産者がやや増えて、4戸30aから18戸70aになった。
    • 異品種を一掃して、タネを本来の系統に回復。市販のタネも本来のものになって、黒い実をつけることがなくなった。
    • 地元のスーパーマーケットに「三宝コーナー」ができ、「三宝」という名が世に出た。
    • こうしたことから、伝統野菜の消滅危機を回避することができた。
■今後の課題
  • さらに多くの生産者を確保する。
  • ハウス栽培で夏商材として夏前から出荷。盛夏になると実が小さく、固くなる傾向があり、その点でも出荷時期を早めることは意味がある。
  • 「三宝」の名称、特徴など、まだあまり知られておらず、販売は苦戦。レシピを紹介し、PRが必要。

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「三宝甘長とうがらし」は、緑色に繁った葉のなかから、実を一つ一つ摘んで収穫します。生産農家にとって最もたいへんな作業だそうです。貴重な野菜が残りますように、と祈るような思いで、お話をうかがいました。
 
 

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