野菜の学校(2) やはたいも
<プロフィール>
- サトイモ科サトイモ属
- 原産地はインド東部からインドシナ半島にかけての熱帯地方で、タロイモも仲間。
- 日本へは中国を経て縄文時代には伝えられたといわれ、米より古い主食だったと考えられている。さといも(里いも)の名前は山でとれる「山いも」に対して村(里)で栽培されることから名づけられた。
- さといもは茎が肥大したもので、株の中心に大きな親いもがあり、そこから子いもが分球して増える。元来水湿に恵まれた暖地で生育しやすいため、東南アジア、南太平洋地域で重要な食糧作物として栽培されている。
- 親いものまわりに子いも、孫いもがつくため、子孫繁栄につながる縁起物としておせち料理などに、また、秋の収穫儀礼食としても使われる。
[やはたいも]
- 甲斐市(旧竜王町)八幡地区で江戸時代から栽培されているさといも。在来の一品種というより、この地域で栽培されるさといもを「やはたいも」と呼んでいる。この地域は、石灰に富む灰色の土地で、釜無川の氾濫によって堆積した肥沃な砂質の土壌であり、気候も春先は晴天日が続き、夏は30℃以上になるなど、さといもの栽培に適している。
- さといもは連作障害が起きるため、3~4年間は同じ土地で作ることができない。このため収穫量が限られる。
- 肉質が白く、キメが細かく、粘りが強い。柔らかく、口どけがよく、独特の風味がある。
- 山梨の郷土料理「ほうとう」やのっぺい汁には欠かせない食材。その他、さといもごはん、きぬかつぎ、おでんなどに利用される。
<栄養・効能>
- 水分が84.1%、エネルギーは58kcal、カリウム640mg、食物繊維2.3g/100g。
- いもの中では水分が多いため、低カロリー。カリウムが多く、高血圧予防によい。
- さといものぬめりはガラクタンなどで、ガラクタンは炭水化物とたんぱく質が結合したもの。胃粘膜の保護、腸の働きの活発化、血中コレステロールを抑えるはたらき、また脳細胞を活性化して認知症を予防、免疫力を高めて風邪をひきにくくしたり、ガン予防にも効果があるといわれている。
<基本調理法・料理例>
- 土を洗い落とし、水分を乾かすかふき取ってから皮をむくと扱いやすい。
- かゆみの原因はシュウ酸カルシウムで、針状の結晶になっているため皮ふを刺激してかゆくなる。
- ぬめりがあると、煮ものの場合はとろみがつき、煮汁もしみこみにくいため、ゆでこぼしたり、塩でもんで洗い流してから使うことが多い。煮っころがしのようにぬめりをいかした料理にするときは、中まで味がしみこみにくいので、煮汁の味を濃い目にするとおいしい。
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