野菜の学校(5) 鳴沢菜(続)
▼お話から
- 地域伝統野菜とは、50年以上県内の地域で育成され、受け継がれて現在も栽培されている野菜類のこと。食文化の維持に貢献し、地域風土に適応しているもの
- 聞き取りから明らかになった、「鳴沢菜」の本来形質
- 草姿はやや開き気味
- 草丈は70~80cm
- 葉に浅い欠刻
- 葉毛じはない
- 分枝の発生は多く、
- 葉の枚数が多い
- 葉柄は短い
- 根は長円錐形、根色は地上部のみ赤紫色
- 根径は5cm程度、根長は15cm程度
- カブ(根)の離層は薄く剥きやすい
- 多様性の遺伝的解析によると、「鳴沢菜」「長禅寺菜」は、「野沢菜」とは遠縁であり、固有の在来種であることが推察された。
- 既存の「鳴沢菜」集団の多様性を解析した結果、どの集団もさまざまな遺伝子が混ざっていることが明らかになった。
- 優良系統を維持するための採種を、以下のように行った
- できるだけ大きな集団を栽培し、11月下旬から12月初旬に母本選抜を行う。
- 優良形質を持つ系統を系統内任意交配によって維持する。可能であれば、これらの形質をもつ個体の自殖を繰り返す。
- 自殖種子では1株あたり約45gが採種できる。発芽試験ならびに生産力検定試験を必ず実施する。
- 栽培者の組織化を行い、育成品種の一元的な管理・配布を行う。
- 交配した育成系統5系統から「鳴沢菜」本来の形質を最も多く有し、収量性も高い「05C-5」を優良系統として選抜した。
▼配付資料から
- 『甲斐国史』に、文化11年(1814年)鳴沢の産物として、ツケナが作られていたという記録がある。
- 鳴沢周辺の富士北麓地域を中心
- 「鳴沢菜」はかぶの仲間。系統分化によって生まれたと考えられているが、「野沢菜」と「広島菜」の交配によってつくられたという説もある
- 「鳴沢菜」のかぶは赤紫色。長めで大きい。葉は濃緑色で毛茸はない。降雪に合うとアントシアニンが生じ濃紫色に変わる
- 「鳴沢菜」は漬けもの用として利用されることが多いが、間引きした若菜は汁の実、おひたしに。根は切り干しとして使われている。
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