野菜の学校(17) そばの薬味を食べくらべ
[野菜の学校]12月のテーマは、島根の伝統野菜・地方野菜。主役は、これから伝統野菜として長く愛されていくことを期待したい「出雲おろち大根」です。
食べくらべも、「出雲おろち大根」をメインに、このあたりではポピュラーな長野の辛みだいこん「ねずみ大根」と、だいこんのなかで最も一般的な「耐病総太り」、通称「青首」をおろして、おそばの薬味として比較しました。おそばはもちろん島根で調達した「出雲そば」です。
だいこんおろしの辛みはイソチオシアネートで、5分以上経つと消えていくといいます。3種類のだいこんおろしを、辛みが消えない5分以内に、受講生全員分が食べくらべられるように用意するには、スタッフの手が足りません。そこで、グループごとに自分ですり下ろして、くらべてもらうことにしました。これが意外に好評。
島根大学教授小林伸雄先生が、そばの薬味として用いられるハマダイコンから選抜育成した、辛み大根。地域の食文化と結びついた在来野菜をベースに、未来の伝統野菜へつなげる試みとして注目されている
江戸時代に長崎から薬草として導入された、ねずみの姿を思わせるだいこん。辛味が強く、肉質は硬い。おろし汁をうどんやそばのつけ汁にする辛味だいこんとして知られる。
タキイ種苗が1974年に発表。以来、農業者にとっては作りやすく、消費者にとってはおろしから煮ものまで万能に使えるので、ベストセラーを続ける品種。現在、日本で生産される大根の95%以上はこれ、という。
▼出雲で調達した「出雲そば」
「出雲そば」は、日本三大そばのひとつ(ほかは、「わんこそば-岩手」と「戸隠そば-長野」)。そばの実を皮ごと石臼で挽いてそば粉にするため、濃く黒い色で、香りが強い。
食べくらべてみると、「出雲おろち大根」はただ辛いだけではなく、旨み、甘み、苦み、えぐみなど、複雑な味がしました。一方の「ねずみ大根」はストレートでシャープな辛さ。どちらも水分は少なく、そのまま薬味として使えます。「青首」も今回はなぜか辛かった。もちろん、その辛さは薄いというか淡いというか…。水分が多いのは、いつも通り。辛いのが苦手な人にはいいと思います。
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