野菜の学校(10) 入河内(にゅうがうち)だいこん
高知県東部、安芸市から北へ山を車を30ほど行ったところにあるのが、東川入河内地区。7世紀ごろ、ここにあった集落は「丹生(にう)郷(ごう)」と呼ばれ、「にうごう」が変化して「にゅうがうち」になったのだそうです。「丹生」の「丹」は水銀を意味し、古代には水銀の生産地だったのではないかといいます。
1884年(明治17年)、東川筋の村が組合村役場を作ったときから入河内は東川の中心として村役場が置かれ、1954年(昭和29年)に安芸市と合併。
この土地で昔から栽培されてきたのが「入河内だいこん」です。長い年月の間に、他のだいこんと交雑してしまい、形や色がまちまちになっていたそうです。そこで、2006年に14戸の農家が集まり、「入河内大根のこそう会」を結成。品質の改善や入河内大根の伝承、PR活動等に取り組んでいます。
▼以下は配付資料から
▽入河内だいこんについて
- 地上に出た首の部分が赤紫色のだいこん。青首だいこんの約3倍の大きさで、通常のもので4~5kg、最大で10kgを超えるものもある。赤紫の色素はアントシアニン。平家の落人が持ち込んだという伝説もある。
- きめが細かく、煮くずれしにくい。首の赤紫の部分を生で食べると、梨のような甘さがあるといわれる。葉もやわらかい。
- 12月下旬から2月下旬に収穫されるが、1月に急激に肥大する。大きいが「ス」が入りにくく、春先までおいしく食べられる。
- 青首だいこんに比べ、肉質が硬く、水分が少ない。糖分、イソチオシアネート含量が多く、アミラーゼは青首大根の5倍、アスコルビン酸(ビタミンC)は20mg/100gで約2倍含まれている。(土佐島津農園・「入河内大根のこそう会」:島津光江氏のデータより)
- 「入河内だいこん」の上部はとても甘く生食向き、真ん中は甘辛い煮ものやいためものに、下の部分は辛みが強いのでだいこんおろしなどに使う。
▽だいこんについて
<プロフィール>
- アブラナ科ダイコン属。原産地は中央アジアとも地中海地方ともいわれる。
- 日本各地の風土に合う品種が多く、100種類以上といわれるが、主流は「青首だいこん」。この他、形に特徴のある「聖護院大根」、「桜島大根」、「守口大根」、色に特徴のある、「紅芯大根」、「黒だいこん」、「赤だいこん」、辛みが特徴の「ねずみだいこん」、「辛みだいこん」、形の小さい「ラディッシュ」など、多くの種類がある。
- 江戸時代から広く栽培さるようになり、飢餓対策として作付けが奨励された。漬けもの、切り干しだいこんなどの加工品、保存食として重宝されてきた。
<栄養・効能>
- 根は水分94.6%、エネルギーは18kcal、炭水化物4.1g(糖質2.7g・食物繊維1.4g)、糖質の大部分がブドウ糖、ビタミンCが12mg/100g含まれている。
<基本調理法・料理例>
- おでんやふろふきだいこん、煮もののほか、なます、サラダ、だいこんもちなど、いろいろな料理に使える。
「入河内だいこん」の大きいものは10kgにもなるといいますが、高知農業改良普及所所長、村田隆則さんの圃場から教室にやってきたのは、2kg前後ではないでしょうか。[野菜の学校]で使った残りを家に持ち帰り、生で食べました。味のある、とてもおいしいだいこんでした。
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